為替の動きからも見える夏場の高騰圧力
2014.07.30
今年も後半に突入! 多くのアナリストがすでに今年に対し弱気のなか、SMBC日興証券のチーフテクニカルアナリストの吉野豊氏は今夏を逃してはいけない、と語る。そのワケとは?
日経平均と非常に相関性が高まっているのが米ドル/円だ。
「アベノミクスが始まって以降、日経平均と米ドル/円はほぼ連動して動いています。為替レートから日経平均を算出する公式が話題になったほどです」
ちなみにその公式は「8500+300×(x―80)」だ。xに為替レートを入れると、日経平均が割り出せると話題になったそう。
「為替は年初に高値をつけてから5月まで調整がつづきましたが、上昇が始まる公算です。149日ごとに安値をつけるサイクルがあり直近では5月22日だったのですが、この日、1ドル100円80銭をつけてから102円台へと上昇に転じています。4月につけた高値である104円13銭を上抜けると上昇再開が確認され、夏場に向けてもう一段の上昇が期待できます」
日経平均と米ドル/円が連動するのなら、やはり7月~10月までの上昇が濃厚だ。
「ターゲットは106円48銭。その上は109円27銭です。ただ、その後には10円幅の大きめな調整もありそうです」
【吉野 豊氏】
SMBC日興証券チーフテクニカルアナリスト。アナリストランキングではトップ3常連とプロからの評価は高い。共著に『FXドリームチームが教える為替の鉄則』
― 8月中に日本株は1万8000円になる!【2】 ―
「一目均衡表では『時間が主、価格は従』と考えます。相場を動かす主要な要素は時間であり、価格はついてくるものであるとする考え方です。日経平均のサイクルを見ていきましょう。日経平均は67か月サイクルで安値をつけています。前回安値から67か月目となるのが今年4月でした」(SMBC日興証券のチーフテクニカルアナリスト吉野豊氏)
4月につけた安値は1万3910円。サイクルは1~2か月ズレることもあるが、5月もこの安値を割ることはなかった。ということは、これが当面の底になる可能性が高まっているのだ。
「一方、高値のサイクルは88か月。1万8261円の高値をつけたのが2007年7月から88か月目にあたるのが今年10月です。もうひとつ33か月サイクルもあり、これだと次の時期が7月。時間的には4月が底であり、7月~10月の高値に向けて上昇していく可能性が高い、ということになります」
まさにこれからが本格上昇の数か月になるわけだ。では「従」のほうの価格はどうだろうか。
「ターゲットとしている1万8800円は、昨年5月から6月にかけての急落の『倍返し』です」
「5・23」ショックとも言われた急落は記憶に新しいところ。あのときは20日間で3182円の急落となり、日経平均は1万2445円をつけた。この大底の価格に3182円の2倍である6364円を足したのが1万8800円だ。
「私の専門はテクニカルですが、ファンダメンタルズ面もそれをサポートしているように思えます。海外株が好調でアメリカやインドは最高値を更新していますし、中国株も下げ止まっています。今年前半は消費増税が嫌気されたのかもしれませんが、夏に向けて日本だけが取り残される理由は見当たりません。それに為替市場でも円安が再開しそうなんです」