三菱自動車、不正燃費問題に揺れる自動車業界の気がかりな指標とは?
2016.08.12
不正を行ったもう1社であるスズキにも近い構造がある。同社も研究開発費以上に、広告宣伝費を露骨に増やしていた。その額は約300億円にものぼる。
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いまや良い製品を作ればそれだけで売れる時代というわけではないが、とにかく製品をよりよく見せて売り込むべく広告宣伝にたくさんの予算を割き、肝心のより優れたモノをつくるための研究開発に十分お金を回していなかった2社の経営戦略には問題があったと言わざるを得ない。
ところで、売上に占める割合を考えれば三菱自、スズキほど高くないものの、その他の自動車メーカーも莫大な広告宣伝費を計上している。前掲した「広告宣伝費の多い企業ランキング」も「増やしたトップ100」も上位はクルマ関係の会社ばかりだ。日産、トヨタ、三菱自、マツダ、スズキの5社だけで過去4年間でなんと1591億円も増えた。
自動車業界はここ数年の「アベノミクス」の恩恵をもっとも受けた業界の1つであり、円安を背景に、’12年頃からどんどん業績を伸ばし、利益を倍増させてきた。しかし、スズキと三菱自はここ2年ほど利益が横ばいであり、伸び続けていた日産、トヨタ、マツダも円高の影響で、ついに今期は減益。業界展望は踊り場にあると言える。
外部環境に目をやれば、IT企業が次々と自動運転の市場に参入し、自動車の基幹部分を握ろうと猛威を奮いつつある。日本の家電とは異なり、自動車は生産における部品の複雑なすり合わせ作業(インテグラル)が残っているためコモディティ化が進まず、新興国のメーカーの安価な製品に日本メーカーがシェアを根こそぎ奪われることもなく、近年も世界で戦える業界であり続けたが、正念場を迎えている。
成長の踊り場にある自動車業界
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