創業昭和29年で手袋専業メーカー「ショーワグローブ」
巷には数々の商品が流通しているが、ありふれた分野や知る人ぞ知るような分野であっても、そこには常にシェア争いがつきまとう。日本市場・世界市場の激しい販売競争の中でトップシェアを誇る企業は、どんな経営努力をしているのか? 3回に渡って、そうした日本のトップシェア企業を紹介しよう。
家庭で使用される日用品の多くは、製造メーカーが意識されることが少ないだろう。しかし、当然ながら、その商品にプライドをかける企業がある。
たとえば家庭用手袋。いわゆるゴム手袋と呼ばれるが、現在、主流になっているのは塩化ビニール製だ。実は有名メーカーが数社で参入しており、消臭剤などで有名な企業や、「コンドームといえば!」のあの企業などがしのぎを削っている。
そんな群雄割拠の中、シェアトップを握っているのは手袋専業メーカーであるショーワグローブ。創業は昭和29年という老舗だ。営業本部 営業企画グループリーダー・今浪秀則氏は次のように語る。
「家庭用手袋の国内シェアは約4割程度。一般化しきった日用品というのは、メーカーの顔が見えにくいもの。しかし洗練された技術を駆使して作っていることは、もっとアピールしたいです。家庭用手袋は創業時に開発したという弊社で最も歴史ある製品ということもあって、思い入れをもっている社員も多いですからね」
そして、家庭用手袋にもさまざまな工夫がこらされていると、今浪氏は熱く語る。
「手袋の使用感を大きく左右するのはフィット感ですから、ここは注力のしどころです。素材の厚みも影響しますし、サイズのラインナップも揃える必要があります。弊社ではオリジナルの手型で製品を作っていますが、この手型こそが、製品の使いやすさを左右する重要なポイントになります。ここも弊社でこだわっている点ですね」
こう言われて、あらためて家庭用手袋を見てみると、指の形状や、手首部分の締め具合、内側の触感を高める植毛加工など、さまざまな工夫がこらされているのがわかる。他にも伸縮性やムレにくさ、耐久性なども要求される。最近ではアレルギー対策という観点から素材を選択する必要も出てきたようで、美容という観点も加わっているという。
塩化ビニール製の家庭用手袋のマーケットは日本の構成比が高いこともあり、ショーワグローブでは家庭用手袋の多くを国内で生産している。生産設備も自社で設計しているそうだ。