LINE株の強みは競合がない点? その可能性を改めて専門家に聞いた

短期的には売り買いが交錯する

――短期的な値動きについては、どう見られていますか。  これからLINE株を購入する人は、15日の終値(4345円)よりも高い株価で買った人が多いので、デイトレードのような短期取引では、今から買って売るとなると損をすることになります。すでに、公募株を買った人で売りたい人は初日に利益を確保して売っているはずです。ただ、上場によりグローバルに認知度が上がったので、しばらくは売り買いが交錯するはずです。一時的に4000円台を割るかもしれませんが、まずは決算が出てからの売買ということになると思います。 ――今後、競合株が出てくる可能性や、LINEの優位性はあるのでしょうか。  日本市場では、LINEと競合しそうな企業は見当たりません。国内のネットビジネスでは、検索サイト大手のヤフー、eコマース(電子商取引)大手の楽天などが成功していますが、彼らがLINEと同じサービスに乗り出せば、競合することになります。しかし、LINEがすでに持つ国内6000万ユーザーの市場をマーケティングするとなると、その費用は何百億円もかかることになります。ゲーム大手のグリーもSNSに参入しようとして失敗しており、そう簡単にはいかないでしょう。  日本人は、アメリカなど海外で流行っているものを取り入れるのが得意ですが、LINEのような独創的なサービスは珍しい。親会社のネイバーが韓国企業であること、LINEの出沢剛社長がライブドア出身であること、またホリエモンこと堀江貴文氏らがLINEの上場に疑問を呈しているなどネガティブな情報もありますが、妬み嫉み以外の何ものでもないと思います。サービス内容を見ても、上場前からグローバル展開していることを見ても、アジアの優良企業と評価する素直さがあっていいと思います。今後、日本企業としてグローバルに通用する第二、第三のトヨタ、ソニーになっていく可能性もあると見ています。そういう視点で応援すべき企業だと思います。 ――LINEのような大型IPO案件として、今後注目されている企業はありますか。  IPO案件では、今秋にもJR九州の上場が予想されています。おそらく時価総額は5000億円規模になるはずです。また、ネット関連ではメルカリの上場が噂されています。こちらは、時価総額1000億円までいかないくらいだと見ています。IPOは、基本的に公開価格を上回るものですから、また“お祭り”になる可能性は高いはずです。 <取材・文/中野 龍> 【西堀敬】 IPOジャパン編集長、(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役。国内外の金融機関に勤務した後、2011年から日本ビジネスイノベーションの代表取締役。IPO関連情報の集積度では日本一を誇るサイト「東京IPO」の編集長を2002年から2015年まで務め、日経新聞、東洋経済、週刊エコノミスト、マネーポスト、テレビ東京、Bloomberg TV、日経CNBCなどの各経済媒体に出演。IR説明会、講演、セミナー等も行う。 https://ipojp.com/
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