任天堂、「ポケモンGO」でも動じない。自由でお公家様な社風

 任天堂がソーシャルゲーム事業に参入しなかった理由。  それはユーザーを煽ってアイテムを課金させるソーシャルゲーム事業は、故岩田聡元社長が「そういうビジネスは絶対に長続きしないと信じています」と明言するなど、任天堂の企業理念に反すると考えたのか、手を出すことを忌避したからだ。儲からないからやらなかったのではない。やりたくなかったから、やらなかったのだ。 ’13年、筆者は外資系コンサルティングファームのインターンの面接を受けていたが、そこで「任天堂はソーシャルゲーム市場に参入すべきか」という課題が出された。筆者は「上場企業の役目が利益を伸ばすことであることを考えれば、参入すべきなのは明白だ」と答えた。  それが教科書的な答えなのは恐らく間違いないが、任天堂という企業は、時価総額がどうのこうのという問題をあまり気にしていないように見える。

株価9割減にも動じないお公家様な社風

 何もしなかった結果、任天堂の株価は一時期、全盛期の10分の1になり、時価総額は「パズドラ」が伸び続けていたガンホーに一瞬とはいえ抜かされた。時はまさしく市場がアベノミクスに湧き、日経平均が倍増しようというときだったが、任天堂はどこ吹く風で下がり続けた。  逆に、任天堂が最高値をつけた’08年はどういう年かを考えてみよう。そう、リーマンショックが起きて市場が暴落していた年だ。つまり、任天堂は市場のマクロな動きを意に介さない会社なのである。 「ポケモンGO」のブレイクの恩恵を受け、7月21日時点で任天堂の時価総額はセブン&アイHD、キャノンに次ぐ、国内18位まで上昇した。しかし、その社風は日本を代表する上場企業というより、花札屋として創業した時から変わらず、マイペースで自由だ。  今だに本社を京都に残していて、まさにお公家様のような企業である。
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社員1人あたりの売上高は1億円!
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