あまりにも身も蓋もない結論に愕然としますが、ブサイクが絶対的に不利なわけではありません。前述のレビュー論文で、研究者は美人の欠点をこう指摘しています。
『ルックスが良い者ほど異性とつき合う確率が高く、セックスや酒を消費しがちになる。その結果、短期的なパフォーマンスに悪影響をおよぼすこともある』
だいぶこじつけっぽいですが、イケメンや美女は人生がイージーモードなだけに、努力を怠ってしまう可能性も大。そのスキをついて頑張るのが、ブサイクが勝ち抜くための基本戦略だというわけです。
同様に、進化心理学者のニコラス・ハンフリー博士も、2005年の著書「喪失と獲得」で次のように述べています。
『容姿に恵まれない者は美男美女よりも子孫獲得に励むため、その点で社会に進化をもたらす可能性がある』
要するに、「ブサイクはコンプレックスをバネにして頑張れ!」というシンプルな結論です。そう考えると、ブサメンの成功者たちは、イケメンの油断をついてのし上がってきた努力の人なのかもしれません。
最後に、見た目と収入の研究で有名な経済学者、ダニエル・ハマーメッシュ教授の言葉を引用しておきます(4)。
『ブサイクな容姿は人の足を引っ張るし、それは今後も変わらないだろう。でも、ブサイクだからってお先真っ暗ってわけじゃない。少なくともいくらかは自分で乗り越えられる。ブサイクだからって心の底からくじけてしまわなくてもいい』
<文/Yu Suzuki>
〈プロフィール〉
月間100万PVのアンチエイジングブログ「パレオな男」(
http://yuchrszk.blogspot.co.id/)管理人。「120歳まで生きること」を目標に、日々健康維持に励んでいる。アンチエイジング、トレーニング、メンタルなど多岐にわたり高度な知見を発信している。NASM®公認パーソナルトレーナー。あまりに不摂生な暮らしのせいで体を壊し、一念発起で13キロのダイエットに成功。その勢いでアンチエイジングにのめり込む。
1.Rachel A Gordon, et al. “Physical Attractiveness and the Accumulation of Social and Human Capital in Adolescence and Young Adulthood: Assets and Distractions”(2014)
2.Irene Hanson Frieze, et al. “Attractiveness and Income for Men and Women in Management1”(1991)
3.Tonya K, et al. “Physical Attractiveness and Social Status”(2014)
4.ダニエル・ハマーメッシュ『美貌格差』(東洋経済新報社)