タイの国鉄が日本の鉄道好きには胸熱な理由

高田胤臣

チェンマイからバンコクに向けて疾走するブルートレイン

 日本でいうところの東京駅に当たるタイのバンコク駅、通称ホアランポーン駅が今年6月25日に今の場所に移転してちょうど100年になった。

 ホアランポーン駅は、タイ国有鉄道(SRT)の駅だが、このSRTはタイにおいては驚くほど人気がない。日本では鉄道ファンがいて、乗るだけでなく、写真を撮ったり、駅舎を好む人など細分化されているほどだが、タイにはそんなマニアはほとんど存在しないのだ。

 この人気の無さにはちょっとした背景もある。

 そもそも、SRTは周辺諸国が欧米列強国の支配下に置かれ、突きつけられるシビアな条件を飲んだり飲まなかったりといった駆け引きの中で敷設調査が進められ、路線が決定されたのだ。そんな駆け引きの中で敷設された線路は、今でも創業当時からほとんど変わらない。北本線、東北本線、東本線、南本線を中心とし、ごくわずかに支線がいくつかある程度で、日本のように路線網が発達していないのである。しかも、このご時世に至ってもなお90%以上が単線のため遅延は当たり前で、終着駅に5時間遅れは驚きに値しない。これはすなわち「不便」でしかないということになる。そのため、SRTは戦前こそは大量高速輸送の手段であったものの、道路と自動車の発達で完全に不人気になってしまったわけだ。

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日本人鉄道ファンを魅了するタイ国鉄

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