4.HIITを取り入れる
HIITは「ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング」の略で、短い休憩と激しい運動を交互に行う手法です。具体例をあげると、
1.20秒ほど猛ダッシュ
2.10秒休憩
3.1~2の手順を4回くり返す
といった感じになります。普通の有酸素運動よりも効率よく体力がつくことで有名ですが、実はBDNFの分泌量を上げる働きも持っています(3)。
なかでも効果が高いのは、日本の田畑泉博士が開発した
「タバタ式トレーニング」でしょう。70年代に生まれたHIITの一種で、普通の有酸素運動にくらべて5倍も代謝をあげる効果を持っています(4)。具体的な方法は以下のとおりです。
1.負荷が高い運動を20秒間
2.10秒間お休み
3.1~2の手順を8回くり返す
すべてをこなしても、たった4分しかかかりません。負荷が高い運動は何でもOKで、猛ダッシュでも腕立て伏せでも縄跳びでも構いません。自分が好きな種目を選んでください。
研究によれば、頭を良くするには2分のスプリントでも十分に効果が出るとのこと。逆に長時間の有酸素運動はストレスホルモンが出すぎてしまうので、45分以上の有酸素運動は避けてください。
5.運動は勉強から4時間後する
2016年にラドバウド大学が行った実験(4)によれば、勉強から4時間後に運動をした被験者は、長期の記憶力が12%もあがりました。運動でBDNFが出たのはもちろん、海馬(記憶をつかさどる脳のエリア)が活性化したのが原因のようです。
いっぽうで、勉強の直後に運動をしたグループには、記憶力アップの効果が出なかったとのこと。数時間の差をつけるのがコツのようです。
6.複雑な動きのエクササイズを選ぶ
2004年のレビュー論文(5)によれば、単純に回し車で遊んだマウスよりも、複雑なエクササイズをしたマウスのほうがBDNFが出やすかったとか。ランニングのよう単純なエクササイズよりは、サッカーやバスケのように敏捷性が必要なスポーツをしたほうが脳には良いようです。
7.できるだけ屋外で運動する
BDNFを作るにはビタミンDが欠かせません(6)。ちゃんと太陽の光を浴びないとビタミンDが足りなくなってしまい、BDNFも作られないことになってしまいます。
また、アウトドアは肥満やメンタルヘルスの改善にもつながりますんで、できるだけ外で体を動かしたいところです。
<文/Yu Suzuki>
〈プロフィール〉
月間100万PVのアンチエイジングブログ「パレオな男」(
http://yuchrszk.blogspot.co.id/)管理人。「120歳まで生きること」を目標に、日々健康維持に励んでいる。アンチエイジング、トレーニング、メンタルなど多岐にわたり高度な知見を発信している。NASM®公認パーソナルトレーナー。あまりに不摂生な暮らしのせいで体を壊し、一念発起で13キロのダイエットに成功。その勢いでアンチエイジングにのめり込む。
1.ジョン・レイティ「脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方」
2.Carolina O. C. Werle, et al. ”Is it fun or exercise? The framing of physical activity biases subsequent snacking”
3.Cotman CW, et al. “Exercise builds brain health: key roles of growth factor cascades and inflammation.”
4.Jasmin K. Ma, et al.“Extremely low-volume, high-intensity interval training improves exercise capacity and increases mitochondrial protein content in human skeletal muscle”
5.Eelco V. van Dongen, et al.”Physical Exercise Performed Four Hours after Learning Improves Memory Retention and Increases Hippocampal Pattern Similarity during Retrieval”
6.Julie A. Markham, et al.“Experience-driven brain plasticity: beyond the synapse”
7.“How Walking in Nature Changes the Brain”