希望か、それともペテンか!? イーロン・マスクの「ロケット再使用でコスト100分の1」を斬る

鳥嶋真也

船へ着地しようとするスペースXのファルコン9ロケット Photo by SpaceX

 まるで『サンダーバード』のように、打ち上げたロケットが地上に帰ってくる――。2016年になり、そんな光景はもう珍しいものではなくなった。

 現在米国では、スペースXとブルー・オリジンという2つの民間企業が、打ち上げたロケットを着陸させて回収し、整備して再び打ち上げに使う「再使用ロケット」の開発に勤しんでいる。スペースXは人工衛星の打ち上げに使う大型ロケットの第1段機体の回収に何度も成功し、再使用打ち上げももう目前に迫っている。ブルー・オリジンは人工衛星を打ち上げられない小型ロケットではあるものの、これまでに再使用打ち上げに3回成功している。

 従来のロケットは、基本的に機体のすべてを海や陸、宇宙に捨てており、打ち上げのたびに新しい機体を製造しなければならなかった。もし、再使用ロケットが本格的に実用化され、旅客機のように飛ばせるようになれば、運用にかかる費用を大幅に抑えられる可能性がある。

 では、どれぐらい抑えられるのだろうか。スペースXのイーロン・マスクCEOはたびたび、「100分の1」と語る。現在、スペースXが運用している大型ロケット「ファルコン9」の打ち上げ価格は6200万ドル(現在の為替レートで約65億円)だが、100分の1ともなれば、62万ドル(約6476万円)にまで下がることになる。もし実現すれば、宇宙利用は飛躍的に進み、私たちが宇宙旅行へ行ける日も夢物語ではなくなるだろう。

 しかし、そんなことは本当に可能なのだろうか。

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「コスト100分の1」が難しい理由

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