近年、米ネイチャー誌が1400人を対象に「スマートドラッグの使用経験の有無」を調査したところ、5人の1人が「使用している」と回答。経営者や弁護士、プログラマー、研究者など、知的生産性が求められ、競争が激しい職業ほど使用する傾向は大きいという。そして、スマートドラッグによる能力の向上を実感するビジネスパーソンは少なくないのだ。
例えば、実業家で、ベストセラーとなった『シリコンヴァレー式 自分を変える最強の食事』の著者でもあるデイヴ・アスプリーもそのひとり。彼の朝は、ピラセタムやアニラセタム、CILTEPなど、おおよそ聞いたこともないような薬剤を約15錠飲み下すことから始まる。
彼は米『CNNマネー』のインタビュアーに対して、「(スマートドラッグを飲むことによって)限界なんてないように感じる。まるで自分がアップグレードされたようにね」と語り、自身の成功はスマートドラッグによってもたらされたと言ってはばからない。
こうした世相を反映し、シリコンヴァレーではスマートドラッグに関連したスタートアップが花盛りだ。代表的なものはNootroboxだろう。グルーポンの元プロダクトマネージャー、ジェフリー・ウーとYouTubeの元マネージャー、マイケル・ブラントが設立した同社は、賦活作用に特化したゼリーキューブ「Go Cubes」(コーヒー3杯分の覚醒作用がある)や記憶力を強化する錠剤「Rise」などを販売。近年には、TwitterやFacebookに投資したことで知られるヴェンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツから200万ドルもの融資を受けており、スマートドラッグ市場の発展性を象徴する事件とされている。