後半のパネルトークでは、農家の側から「農福連携」の実践に手応えを感じている地元・豊田の野中慎吾氏(農業生産法人みどりの里の農場責任者)が、適性を見極めて作業を任せると、はじめは暗かった女性が作業を習得して笑顔になり、社員よりも的確に摘み取り作業などをこなすようになった例などを紹介。「スタッフがフォローすればうまくやれる」と訴えた。
工賃アップについては「結構難しい。でも、そこで収穫した野菜を持って帰ってもらうと、障がい者の表情がみるみる明るくなる」と、現物支給によってモチベーションが維持され、その野菜を販売することによって、工賃をはるかに超える高収入につながったエピソードも披露した。
内にこもりがちな障がい者が外に出て汗を流す農業の現場。その仕事ぶりが外から見えることから、地域の人とふれあい“社会とつながる”機会が確実に増える。障がい者と地域の人々がつながれば、新たな価値観を生みだし、地域の活性化にもつながる。
「障がい者が農業を変え、農業から地域を変え、日本を健康にする」
この流れは、全国各地でどこまで広がるのか、自然栽培パーティの活動から目が離せない。
取材・文/田中裕司(ノンフィクションライター。著書に、「不可能」と言われたイチゴの自然栽培に挑む30代農家の姿を描いた
『希望のイチゴ~最難関の無農薬・無肥料栽培に挑む~』など)