2020年の月着陸打ち上げの想像図 Photo by KARI
比較的順調のように見える「朴大統領のアポロ計画」だが、問題は予算と時間、そして政治にある。
まずロケット開発には、2021年の開発終了までに約2兆ウォンの予算が投じられることになっている。これまでのところ、毎年ほぼ満額が投じられているが、そもそも2兆ウォンという数字は、新型ロケットを開発する予算として十分とは言えない。
さらに、2017年12月、つまり今から1年と半年後に試験打ち上げを行うという予定も、開発スケジュールからして厳しい。おまけに完成形のロケットでは、大型エンジンを4基まとめて噴射するクラスタ化という技術を使うが、この技術も韓国は未経験で、一回でうまくいく保証はない。
つまり2017年の試験打ち上げが遅れたり、失敗に終わったり可能性は十分にある上に、それを乗り越えたとしても2019年に行う完成形ロケットの試験打ち上げで、同じく遅延や失敗が起こる可能性も十分にある。そうなれば「2020年に月に太極旗をはためかせる」という目標は達成できない。
さらに、月探査機の開発にも同じことが言える。まず2018年打ち上げ予定の探査機については、いくら韓国に小型衛星の開発経験があるとはいえ、あと2年で機体を完成させるのはかなり厳しいだろう。また予算も2015年度はゼロ、つまり予算が付かず開発は一旦止まっており、2016年度になって200億ウォンが認められたが、もちろん十分ではない。さらに今後、月探査計画には3年間で約2000億ウォンが必要とされるが、その全額が認められるかどうかは、国会の審議の結果による。
韓国メディアでは、「予算さえ付けば予定どおり実現は可能」とする関係者の声が紹介される一方で、「時間が足らない」という声も紹介されることがあり、韓国国内でも2020年という期限を守るのは難しいのではという見方が出ている。