創業嘉永2年。老舗「山本海苔店」を守ってきた百年前の「家訓書」とは?

平野健児

「まるうめ」ブランドの山本海苔店は日本橋の老舗メーカー

 山本海苔店は創業時から日本橋室町一丁目に本店を置く、海苔の老舗メーカーです。その創業は嘉永2年(1849年)に遡り、初代の山本德治郎が神奈川県綱島から上京し、まだ魚河岸があり、鰹節屋や瀬戸物屋等の店舗も沢山あった日本橋に店を構えました。なお、山本海苔店のロゴマークの、丸に梅の字の「まるうめ」ブランドは、海苔が梅と同じように香りを尊び、梅の咲く寒中に最も上質の海苔が採取されたことに由来します。

写真/nimame

 なお「海苔」で「山本」と聞くと「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」のCMでお馴染みの「山本山」が頭に浮かびがちですが、山本海苔店と山本山は全く別の会社です。ただ山本海苔店、山本山に加えて「山形屋海苔店」が『海苔の御三家』とも称される東京の老舗ですので、せっかくなのでこちらにも先に軽く触れておくことにします。(なお、全て山が頭に付く上に日本橋創業なので、余計にややこしいですね。)

「海苔の御三家」はみんな、日本橋創業で頭に山がつく?

 山本山の創業は元禄3年(1690年)と古いですが、意外なことに海苔の扱いを始めたのは戦後からで、元々は永谷宗円(永谷園の創業者・永谷嘉男の先祖)が開発した煎茶の受託販売で大きく事業を伸ばした企業です。余談ですが、高級茶葉「玉露」の原型を作ったのは、6代目の山本嘉兵衛です。

 御三家のもう一つ、山形屋海苔店の始まりも明和元年(1764年)と古く、創業者は山形出身の窪田惣八で、屋号もそちらに由来します。上記の2社より海苔の扱いが早かったこともあり、江戸一番の海苔商になったという同社ですが、多くの新商品の開発も手掛けており、中でも日本初のビン詰め焼海苔「貯蔵(かこい)海苔」は明治_11年(1878年)フランスで開催の世界大博覧会にも出品されています。

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山本海苔店をメジャーに押し上げた商才溢れる2代目

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