決戦投票に向けて当初、反フジモリ派がケイコ・フジモリの躍進を抑えると予想されていた。それはアルベルト・フジモリ政権下で、大統領参謀のモンテシノスが議員を買収しているのが映像で暴露されて汚職が横行していたということや、セルフクーデターの実施中に軍部が過激派と看做した民間人を殺害したことや、原住民の極貧を緩和させるべく子どもの出産を避けるための避妊手術の強制といったことなどを強調してアルベルト・フジモリが非人道的な政治を行なっていたと批難されていたことが背景にある。
つまり、父親の非道を挙げて、ケイコ・フジモリも大統領に就任すると同じような政治をすると訴えているのである。しかし、その効果は反映されていないというのが既に明白になっている。フジモリ支持派はアルベルト・フジモリがペルーの為に貢献したことを良く認識しているということなのかもしれない。
最初の大統領選出の投票と同時に実施された議会の選挙ではケイコ・フジモリの弟のケンジ・フジモリが最高得票数で当選していることからもフジモリ派への支持が依然高いということを証明されている。
アルベルト・フジモリ、そしてケイコ・フジモリという「父と娘」がペルーの歴史を刻むことになるかもしれない。
<文/白石和幸 写真/
http://twitter.com/KeikoFujimori/status/735986123059564545>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。