実際、アルゼンチンのマクリ大統領もこの方向性を歓迎しているようで、テメル政権が誕生するや否や、アルゼンチンの〈在ブラジル大使カルロス・マガリーニョ氏がマクリ大統領の今年6月のブラジル訪問の設定に入った〉という。
もっとも、テメル政権の存続は今後の経済の進展に左右されることは間違いない。今年も昨年同様にGDPは後退が予想されている。ルセフ大統領が職務停止を受けている180日間でテメル政権がどこまで景気を立て直すことが出来るか。景気に変化が見えない場合は前倒し大統領選挙になる可能性が強い。逆に、景気に回復が見られれば2018年までテメル大統領代行が大統領として職務をまっとうすると思われる。(参照『
iProfesional』)
しかし、テメル政権には「強力な後ろ盾」の影も見える。恐らく、米国からの支援は得られるはずである。ウイキリークスが5月13日付で〈テメル氏が嘗て米国の諜報機関への情報提供者であった〉ということを報じた。またもうひとつ注目されるのは、2013年から米国の在ブラジル大使に就任しているリリアナ・アヤルデ氏は、〈2012年にパラグアイで同じくフェルナンド・ルゴ氏が弾劾裁判で大統領の職務を解任された時の在パラグアイ大使であった〉という。これは偶然の一致であろうか?(参照『
SputnikNews』)
<文/白石和幸 photo by
Valter Campanato/Agência Brasil (CC BY 3.0 BR) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。