今年のメーデー。杉村は埼玉県で開催された集会でこう演説した。
「日本が不景気な理由は、ひとつです。働く人の給料、会社員の給料が低すぎるからです」
「働く人は、もっと怒ってもいい! サービス残業分の給料がしっかりと支払われていれば、国全体の消費だって、ずっと増えていたはずです。消費さえ増えていれば、景気も回復し、企業の利益も上がっていたでしょう。目先の利益にとらわれて、企業も、結果的に損をしているんです」
「給料を上げることができるのは、労働組合、労働運動だけです。政治もできるかぎり後押しいたします、頑張りましょう!」
いかにメーデーとはいえ、政治家がここまではっきりと「低賃金の是正」を真正面から演説する事例は珍しい。労働環境の是正を訴えるにも、大方の政治家は言質を取られまいと「暮らしの水準を引き上げる」「雇用を守る」などの言葉でお茶を濁してしまう。杉村はこの点でも異色だ。
だが、杉村に注目すべき理由はここではない。この演説の後半、彼の真骨頂が現れる。