為替報告書の中で、日本・中国・ドイツなど5か国・地域を「監視リスト」に指定した意味合いについて、筆者は、環太平洋経済連携協定(TPP)促進のために通貨切り下げ競争回避が目的であると考える。特定の国を叩くためといった、うがった見方は必要ないのではないだろうか。
米議会は今年、TPP合意に合わせ、自国の輸出に有利になるよう通貨を切り下げる国への対抗措置を盛り込んだ法案を可決した。対米貿易黒字が200億ドル以上、②経常黒字がGDPの3%以上、③為替介入の規模がGDPの2%以上の3つを満たした国に対し、対抗措置を取るよう求める内容となっている。
筆者は、上記基準を基に、米財務省は各国をテクニカルに評価して、日本、中国、ドイツ、韓国、台湾の5カ国・地域を「監視リスト」に指定したと見ている。
<文/丹羽唯一朗 photo by
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