プレゼン下手は要注意!「それでは次のページです」という言葉がまずいワケ

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【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第5回】  プレゼンテーション演習に参加したビジネスパーソンの方々からよく受ける相談に、「話が続かない/流れをつかめない/盛り上げることができないのだが、どうすればよいだろうか」というものがある。詳しく話を聞いてみると、プレゼンテーションの時間経過とともに、聞き手の関心が薄れていくことが手にとるようにわかり、話し手である自分の気持ちも萎えてくるというのだ。きっと読者の中にもこのような感覚に陥った方も少なくないだろう。

「次です」の合いの手より、無言がベター!?

 そういう相談をしてくる方は、ひと言で申し上げれば、真面目で優しい方が多い。そして、プレゼンテーションを聞かせていただくと、パワーポイントの1頁の説明が終わるごとに、「それでは、次のページです」、「はい、次です」というような合いの手を丁寧に入れているケースによく出くわす。きっちりと、頁の区切りを確認し、そして聞き手に示すことこそが、聞き手にとって親切なプレゼンテーションであるという優しさの表れかもしれない。  相談をしてきた方に対しては、私はこの合いの手を入れないでやってみましょうということをお勧めする。そうすると、大概の方が、「え?」という顔をする。「合いの手を入れないのであれば、なおさら話が続かないのではないか、リズムが崩れるのではないか」という懸念を抱くようだ。 「百聞は一見にしかず」なので、実際にロールプレイングで実施していただく。そして、実施してみてどうでしたか?ということを聞いてみる。すると、ほとんどの方が、「聞き手は関心を持ってくれたような気がします」という回答が返ってくる。  実は、これには理由がある。話し手としては聞き手に親切にしようと思って、真面目に「それでは、次の頁です」、「はい、次です」という合いの手を入れていたのが、これをページ毎に繰り返されると、その単調さが、聞き手の集中力を削ぐ。加えて、話し手にそのような意図がなくとも、「次の頁を見てください」、「次を聞いてください」という押し付け感が伝わり、それが聞き手の抵抗感を高めるから、聞き手の関心度合いが低下するのだ。
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「間」をつくることで聞き手に興味を沸かせる
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