新たに加わった4つの市場では、これまで同車種はアジアのタイ国より輸入されていた。しかも無関税での輸入だという。それに対しても、アルゼンチン製の同車種は遜色なく品質そして価格面で充分に対抗できるとしている。勿論、ブラジルへは今後も輸出を続ける。それに加え、コロンビア、パラグアイ、ウルグアイがこれまでのアルゼンチン・トヨタの主要な市場となるわけである。いずれは米国市場への輸出も実現することになると彼らは見ているが、その前にメキシコへの輸出も実現するはずであるとしている。
それはメキシコが太平洋同盟の加盟国であるからだ。というのも、太平洋同盟のメンバー国であるコロンビアには既に輸出しており、今回新たに市場として加わったペルーとチリもまた太平洋同盟の構成国なのだ。このことからも、メキシコへの輸出は自ずと実現される可能性は高いことになる。
一方、アルゼンチンが加盟しているメルコスルのメンバー国にベネズエラがある。ベネズエラは深刻な経済危機にあるが、アルゼンチン・トヨタはベエズエラ・トヨタを支援すべく、同国が自動車の生産から当面は自動車パーツの生産に切り換えていることも受けて、そのパーツを昨年からアルゼンチン・トヨタは輸入開始している。既に5種類のパーツが輸入され、最終的には18種類のパーツまでの輸入を計画しているという。それをメルコスル市場で取り替えパーツとしてアルゼンチン・トヨタの保証のもとに販売しているのだ。
アルゼンチンの経済が成長期を終えて、その後の長引く不況に突入する前の1997年にトヨタは同国サラテ市に進出し、2万台の生産からスタートした。20年の経過が間近に迫っている同社はサラテ市の市民が誇りにしている企業にまで成長している。<文/白石和幸>