地震による客離れが深刻化する熊本・大分の観光地【熊本地震現地レポート】

4月末現在、別府市最大の避難所となっている別府市公会堂。 避難者が多かった別府市では、震災直後にはペット連れ専用の避難所も開設されていた

県外からの支援が少ないなか、現地の留学生も復興支援に

 客足は少ないながらも震災から立ち直りつつある大分県であるが、被害を受けた建物は約1100棟以上に上っており(大分県発表)、由布市を中心に、地震の損壊により住むことができなくなり解体された住宅も多い。  一時、大分県でも別府市を中心に1万人を超える避難者が出たが、片付けがひと段落した4月29日には400人以下までに減った。しかし、ひとたび大きな余震が来ると、避難者は一気に増えることもあるという。  特に、別府市の避難所に入ると目立つのは留学生の姿だ。  学園都市という側面もある別府市と由布市。両市の大学では建物の倒壊などは起きなかったものの、立命館アジア太平洋大学(別府市、学生数約6,000人)では構内の地面のひび割れや隆起が、別府大学(別府市、学生数約1,800人)では正門周辺の石垣の崩落が起きたほか、揺れの大きかった亀川温泉地区にある溝部学園短期大学(別府市、学生数約400人)では多くの窓ガラスが割れ、学生寮などで建物被害も発生した。(そのほかの大分大学医学部(由布市)などは大きな被害は発生していない)  約80か国から3000人弱の留学生を迎えている立命館アジア太平洋大学では、地震を経験したことがなかった留学生も多く、震災直後は多くの学生が別府市内の避難所に身を寄せていた。  甚大な被害を受けた熊本県とは異なり、県外からのボランティアが少ない大分県では、こうした学生の存在が復興の力添えにもなった。多くの留学生の存在は、大分県、そして九州の復興状況を世界中に発信することにも一役買っているという。  こうした復興状況を発信しているのは、学生だけではない。  由布院では、地元の人気飲食店が復興状況を伝えるためのFace bookページ「湯布院ファイト!」を立ち上げ、由布院の情報を随時発信しているほか、別府市では、市の観光情報サイト「極楽地獄別府」において、別府の観光施設の営業状況や、交通機関の復旧情報を多言語で発信。別府市長自らもFacebookやツイッターで頻繁に情報発信を行っている。
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