では、過去の高い買取価格でないと儲けられないのかというとそうではないという。自身も関東3か所で太陽光発電をしているソーラーマニアのライター、藤本健氏はこう説明する。
「確かに買取価格は下がっているのですが、パネルなどの設備や工事費用も値下がりしているため、利回りは今でも10%程度で回るんです。利回りは昔と変わっていませんから、24円の今から参入するのも悪くはないと思います」
かなり大雑把なたとえだが、以前なら4000万円の融資を受けて始めると、10年で元本4000万円が回収でき、残り10年で4000万円儲かるといった収益モデルだった。今では2400万円の融資で始めることができ、10年で2400万円を回収し、残り10年で2400万円儲かるといった具合だ。
ただ、数千万円もの高額なローンを組むのは、やはり勇気のいること。「そんな人に検討してほしいのが、『太陽光発電ファンド』です」と、藤本氏は話す。
「1年ほど前、私が千葉に太陽光発電を設置しようとしていて、その設置業者がファンドを行っていたんです。通常は金融機関から融資を受けるのですが、一般から出資を募って、その資金で発電所を建設・運営し、生み出された電力を売電。特別目的会社を通して、収益を出資者に分配するという仕組みです。ちょっと面白そうだったから、試しに50万円分購入してみました」
運用期間は10年で、目標利回り5.5%、目標年間平均分配率は13.6%(いずれも税引き前)と書いてあったそうだ。
「分配シミュレーションを見ると、100万円を投資したら、10年後に約136万円になるというものでした。利回り5.5%なら10年で155万円になるはずでおかしいなと思ったのですが、よく読み込んでみると、分配金だけでなく元本も少しずつ戻ってくる仕組みだったのです。つまり、毎年、元本の残高は減り、その残高に対して一定割合の分配金がもらえるというわけです。そして、10年目の償還時には残った元本と分配金がもらえて、最終的に136万円になるという計算でした」
⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=92327
藤本氏が投資した太陽光発電ファンドは、100万円を出資すると、毎年元本と分配金を受け取り、最終的に136万6400円になるという仕組み。利回りは3.6%の商品だ
太陽光発電は10%程度で回るものだが、そのうちの3.6%を出資者に還元する「年3.6%」の商品と考えればわかりやすい。ちなみに、20年の売電が約束されているのに、出資者に分配するのは最初の10年だけだから、11年目以降は事業者の儲け。
「さらに、この発電事業を行っていくうえでトラブルが生じたら、分配金を減らすというスキームも入っています。つまり、太陽光発電事業の運営リスクを出資者が取っているということです」
しっかり発電・売電されれば、無理はない運用商品と言えるだろう。なお、「エコめがね」というサイトから、リアルタイムで発電量などをチェックすることができる。とはいえ、最近も「ワインファンド」の破産が話題になったばかり。不安も多い。少額の自己資金でも比較的高利回りで運用することができる魅力的な商品だが、このようなリスクをしっかり理解し、自分なりに納得したうえで投資を検討してみるのもよさそうだ。