ニッカウヰスキーとポッカレモンの意外な関係

写真/克年 三沢

「マッサン」「日本のウイスキーの父」竹鶴政孝

「一人の青年が万年筆とノートでウイスキー製造技術の秘密を全部盗んでいった」かつてイギリス首相からそんなユニークな賞賛を受けた「日本のウイスキーの父」竹鶴政孝、2014年のNHK朝ドラ「マッサン」のモデルとしてもすっかり有名になりましたね。  そんな政孝が、寿屋(現サントリー)山崎蒸溜所の初代所長として、日本初の本格スコッチウイスキーの製造を指揮した後、よりスコットランドに近い気候の北海道の余市で、1934年に創業した大日本果汁、それがニッカウヰスキーの始まりです。  ウイスキーは製造開始から出荷まで数年かかるため、創業当初は余市周辺の特産品であったリンゴを原料に「日果林檎ジュース」などを製造、販売しており、これが1940年から出荷開始されたニッカウヰスキー及び社名の由来になっています。なお「イ」が「ヰ」なのは、Whiskyの「wi」の発音に近いからという政孝の拘りです。

斜め上の展開でニッカに影響を受けた企業があった

 ちなみに、この『ニッカ』ですが「じっくりコトコト煮込んだスープ」や缶コーヒーで有名な『ポッカ』(現ポッカサッポロフード&ビバレッジ)の由来にもなっています。それは、ポッカの創業者は当初、名古屋でニッカウイスキーを出す「ニッカバー」を経営していたのですが、そこで出していたレモン系カクテルからヒントを得て作った商品が瓶入りレモン液でした。  当初は「ニッカバー」からうまれたレモンの事業なので、作った会社も「ニッカレモン」と名乗っていたのですが、軌道に乗ったので社名を考え直そうとなった際に、ゴルフの正装「ニッカボッカー」を見て「ニッカの次だからボッカにしようか、ボッカよりポッカの方が響きが良いな」ということで「ポッカレモン」になったという、まるで大喜利のような起源になっています。
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その後の「マッサン」が追いかけたウイスキー作り
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