通信途絶の天文衛星「ひとみ」、依然として厳しい状況。しかし微かな希望は残る

電波の受信は計4回に、ただし衛星の状態は依然不明

X線天文衛星「ひとみ」の想像図 Photo by JAXA/池下章裕

 4月1日の会見では、先日の記者会見後にさらに2回、衛星からの電波が受信できたことが発表された。これで異常発生が確認されて以来、合計4回、衛星からの電波を受信できたことになる。これは衛星の電源(太陽電池)と通信機器が、まだ生きているということを示している。  ただ、最初の2回と同様に、短時間の電波のみしか受信できず、衛星の状態は確認できなかった。  また、電波の受信時間もさらに短くなっている。1回目は約3分間(26日23時49分から23時52分、2回目は約4分間(27日1時23分から1時27分)だったものの、3回目は約10秒間(28日22時06分)、4回目は約6秒間(29日0時33分)だった。  JAXAによると、これはバッテリーの充電がなくなり、太陽電池による発電のみしか機能しておらず、太陽電池に太陽光が当たっているときにのみ通信装置の電源がONになり、当たらなくなった途端にOFFになる、ということを繰り返しているためだと考えられるという。また、「ひとみ」の太陽電池は一方向に向けて固定されているため、もし「ひとみ」が回転していれば、太陽光が当たるときと当たらないときが目まぐるしく変化し、10秒や6秒といった短時間しか電波が出せないことも説明がつく。  ちなみに、「ひとみ」をはじめ大多数の人工衛星には、機体の全周囲に向けて電波を出せる通信装置があり、基本的に機体がどの方向を向いていても、電波は地球に届くようになっている。それが短時間しか届かないということは、前述のような太陽電池による発電の有無によって、電波が散発的にしか出せない状況にあるという可能性が最も高い。
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デブリ衝突説はほぼ否定、衛星自体の異常発生か?
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