さて、ソフトバンクグループが出資したWME-IMGの業績将来予想について考察したいのであるが、あいにく、WME-IMGは上場企業ではないので、財務データが不明である。また、ソフトバンクグループも「成長性を評価した投資案件の一つ」とコメントしているだけである。従って、以下は、一般論となるが、スポーツ関連事業について記す。
マーケティング・リサーチのニールセンの『
米国のテレビ・インターネット・ラジオにおけるスポーツコンテンツ視聴動向レポート2015年版』によれば、米国におけるスポーツ番組の総放送時間は10年前(2005年)と比べ、160%に増加。総視聴時間は41%増加しているという。また、スポーツ番組全体の95%はライブ視聴であり、スマートフォン経由でのスポーツサイト閲覧時間も120万時間を超えるなど成長を見せているという。
女性の視聴者層も増加しており、例えば2015年のサッカー女子ワールドカップでは、2011年と比べて女性のリーチが57%増加したという。
上記の通り、過去10年間に米国ではテレビでのスポーツ番組ライブ放送時間が大幅に増え、選択できるスポーツコンテンツが大量に提供され、スマートフォン経由での視聴が増えている。このように、米国ではスポーツ関連事業には追い風が吹いている。
WME-IMGはソフトバンクグループからの出資金を投資、買収、合弁に活用するという。人気イベントの運営権やベンチャー企業の買収、海外事業の拡大などに使う計画であるという。一方、ソフトバンクグループから見ると、2億5000万ドル(約280億円)の出資は、出資比率5~8%とみられ、現状では投資案件にとどまるが、将来ソフトバンクグループの既存事業とのシナジー展開に繋がることもあるのかもしれない。
<文/丹羽 唯一朗 photo by
Zepolekim on WikimediaCommons(CC BY-SA 3.0)>