都内のセメント工場から放射性物質が放出?――福島原発由来なのか
メルトダウンによって大量の放射性物質をまきちらした福島第一原発事故から5年がたつ。除染作業も行われているが、拡散した放射性物質を全て回収することは不可能だ。放射能汚染を監視する東京都のNPOは、放射性物質が混じった粉塵の吸入で内部被曝が生じる可能性を指摘する。
東京・日の出町にあるNPOちくりん舎(市民放射能監視センター)は、大気中の微粒子に含まれる放射性物質を独自の方法で調査している。
一般的には送風機にフィルターを取り付け、フィルターを通った空気量とフィルターの放射線量を測定する装置「エアダストサンプラー」を使用する。一方、ちくりん舎では一定の大きさのリネン布を2週間程度外気にさらし、布に吸着した放射性物質を測定する方法を編み出した。エアダストサンプラーよりも安価かつ簡便に測定できるのが特徴だ。
ちくりん舎は2014年春以降、福島県内では南相馬市内や伊達市内など24か所で得られたリネン布の吸着サンプルを測定。放射性セシウム137で、布1㎡当たり0.24(福島市内)~117.95(郡山市内)ミリベクレル時という結果が出た。これは極めて低い数値だが、ちくりん舎理事の青木一政さんは次のように指摘する。
「東京大学の児玉龍彦教授は原発事故が起きた2011年の7月、国会の参考人説明で『内部被ばくというのは何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうのは全く意味がありません』と証言しています。摂取した放射性物質が臓器に蓄積し、細胞の遺伝子を長期にわたり傷つける可能性があるためです。最近の研究では、肺に取り込まれたセシウムは排泄されにくいと指摘するものもあります。摂取しないにこしたことはありません」
NPOが独自の測定方法を編み出す
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