ネットショッピング層急拡大で中国の電動自転車に規制のメス

個人宅配を支える「電動自転車」に起きた問題

 これらの個人宅配を支えているのが、配送する足である電動自転車だ。小回りがきき、個別宅配に便利な電動自転車は、2000年代に入り増え始め、2009年には中国全土で1億2000万台に達している。大手ファストフード店の「マクドナルド」や「KFC」も電動自転車での配送を始めるなど電動自転車での配送は日常的な光景となった。さらにスマートフォンの登場で、スマホによる配送注文がさらに個人宅配需要を増やしていった。

数年前まで主流だったフルアシスト型の電動自転車

 しかし、電動自転車の台数激増とともに問題も発生し始めた。  たとえば、音がない電動自転車は、接近しても気づきにくいため、マンションの敷地内での接触事故を起こしたり、マンション入り口に長時間停車したため緊急車両が通れず生命にかかわる問題に発展したケースも報じられている。国営の『新華社』によると2009年、約3600人が電動自転車に関連した事故で死亡するなど社会問題になっている。

規制が始まった中華電動自転車

非フルアシスト型の電動自転車

 それらの問題を受けて中国政府は、2010年に電動自転車の規制を強化し最高時速20km以下、車体重量40kg以下、タイヤ直径54cm以下のもので、ペダルでこぐもの(非フルアシスト型)を電動自転車とした。これらの基準に満たないものは、製造禁止とするも違法車は後を絶たず、深センや武漢、アモイなどはすでに全面禁止になり、北京や瀋陽も部分的に禁止になるなど電動自転車規制の波は中国全土へ広がりを見せている。  大連は、90年代から中心部での自転車、オートバイなどの二輪車の通行を原則禁止しているものの自転車は実質的に黙認されてきた。電動自転車は、ナンバープレートも運転免許証も不要な自転車扱いされているため、グレーゾーン的に台数を増やしてきた。結果、電動自転車は、交通事故の原因として問題となり、大連でも事故対策を理由に2016年から電動自転車規制の動きを見せ始めている。  大連で洋食店を営む経営者は、今月、デリバリーサービスを始めようと宅配業者へ相談したところ電動自転車の規制が始まるので新規業務を受けるのは難しいと回答されたという。そのため自社で配送用の自動車を導入するか悩んでいると話す。  電動自転車規制は需要が増える宅配業者にとっては頭が痛い問題になっているようだが、「上に政策あれば下に対策あり」の中国だけあり、すぐにケロッと上手に世渡りするように配送ニーズに応えていくのかもしれない。 <取材・文・撮影/我妻伊都(Twitter ID:@ito_wagatsuma
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