汚職疑惑の前大統領と現職大統領の密談が暴露! 荒れるブラジル政界

「汚職追及の手が及べば使えばいい」

 捜査当局によって盗聴されたルラ前大統領とルセフ大統領の間で交わされた会話は以下の通りだ。 ルセフ:「ルラ、ひとつ伝えたいとことがあるの」 ルラ: 「言ってくれ」 ルセフ:「ベシアに書類を託したんだけど。持っておいて、必要になったら使えば良いわ。閣僚に任命する文書よ」 ルラ: 「それは良いことだ」 ルセフ: 「それだけよ。そこで待っておいてね。彼女がそっちに向かっているから」 ルラ: 「ここに居る。待っている」  この会話の中で注目せねばならないのは、「必要になったら使えば良い」とルセフ大統領が伝えていることだ。即ち、汚職事件で逮捕されそうなったら使えという意味なのだと報じられている。  ルセフ大統領はこの会話が公開されたことに激しく非難し、盗聴は違法行為であるとしてこの調査に乗り出すと述べた。そして会話の内容の説明として”ルラ氏の夫人が病気でブラジリアでの入閣儀式に出席できない場合を考慮しての内容だ”と弁明した。(参照「BBC」)  捜査当局はこれは大統領を標的にした盗聴ではないとしている。〈ルラ氏の電話の盗聴に偶々ルセフ大統領が登場した〉ということをモロ判事はメディアに説明した。しかも、偶然は重なり〈ルラ氏がルセフ大統領との会話で使った電話はバルミル・モラエス氏の電話で、彼の電話にもまた盗聴許可が下りていた〉のだという。そしてモロ判事は汚職事件に絡むこの盗聴の公開に踏み切った正当性をメディアに伝えた。(参照「Infobae」)。
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延命のための奇策が逆効果になったルセフ大統領
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