日銀はマイナス金利付き量的・質的金融緩和の「現状維持」を発表(PublicDomain)
2016年3月14日~15日の日銀金融政策決定会合は、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の「現状維持」を決定。MRFをマクロ加算残高に加え、マイナス金利適用対象から除外した。
2016年1月29日、日銀はマイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入した。日銀は、“企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクの顕現化を未然に防ぎ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することとした。日本銀行当座預金金利をマイナス化することでイールドカーブの起点を引き下げ、大規模な長期国債買入れとあわせて、金利全般により強い下押し圧力を加えていく。また、この枠組みは、従来の「量」と「質」に「マイナス金利」を加えた3つの次元で、追加的な緩和が可能なスキームである。”としている。マイナス金利の導入により、企業と個人はどう変わっていくかについて、考えていきたい。
まず、マイナス金利の導入により、法人の自社株買いの動きが見られた。
2016年2月15日、ソフトバンクグループは、今後1年間に、発行済み株式数(金庫株を除く)の14.2%にあたる1億6700万株、5000億円を上限に、自社株買いを実施すると発表した。手元資金のほか保有資産の売却で得た資金で買い入れる。ソフトバンクグループの翌日の株価はストップ高となった。
同様に、2月26日、日産自動車が3億株、4000億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。3億株は発行済み株式数の6.7%に相当し、消却することを前提としている。同社としては過去最大級の規模の自社株買いとなる。
自社株買いにより株式数が減少すると、株価が上昇しやすい。配当原資が同額であれば、株式数が減少した分、配当が増加しやすい。すなわち、自社株買いは株主還元の強化および株価の下支えにつながると考えられる。
内部留保が増加し、キャッシュリッチな企業にとっては、設備投資やM&Aなどの投資を行わない場合、すなわち、キャッシュの活用先が見当たらない場合には、自社株買いが最もよい選択になる。マイナス金利の環境となれば、なおさら、キャッシュを持つことは有利ではなくなり、自社株買いが促進されることになるだろう。