「新たな消費の担い手」マイルドヤンキー層のシビアな人生観

マイルドヤンキー

地方都市を走る国道。ここが「マイルドヤンキー」にとっての人生の基盤だ

「ヤンキー経済」という言葉が注目を集めている。現代の消費のキーワードは、地方都市のマジョリティーである地元族の若者たちが担っているという見方だ。 「新たな消費の担い手」などと微妙に上から目線で語られることもある彼らだが、決してバカではない。  意外にも彼らの主義主張や本音は、シビアに日本の現状を分析している。その近未来ビジョンは、主に「仕事」「恋愛」「友達」「結婚」で構成されている。  まず仕事について特徴的なのは上京(都市部に行く)志向がないということだ。その理由は? 「上京したら負けって感じがあるんですよ。特に女は地元に仕事が少ないから、鞄ひとつ持って東京に出てシェアハウスに住む……みたいなコもいるけど、やっぱり一人暮らしってお金がかかる。せっかく上京しても、貧乏になったコも周りに多い。特に女の場合、上京したら100%、婚期を逃しますよね。地元は若い女が少ない分、多少ブサイクでも彼氏ができますし、さっさと共稼ぎになったほうが生活も人生も充実するじゃないですか」(茨城県・21歳♀)  これがマイルドヤンキーの女性の仕事観だ。「仕事も恋愛も結婚も生活安定のため」という感覚があり、結婚・出産願望は非常に強い。 「婚期は大事。晩婚化とか何それ? だって地元で仕事続けても、女は30代で賃金は頭打ち。むしろ年食うほどマトモな仕事がなくなる。だからカネはなくても体力がある20代で第一子を生み、30歳になる前に気合いで子供を小学校に上げちゃう! 周りの同世代が一気に子供を生めば、子育ても協力し合えるし、絶対、乗り遅れちゃマズいっす」(茨城県・23歳♀)  逆算すると、24歳には結婚・出産が理想。23歳だという彼女の言葉には焦りが感じられた。  格差は拡大し、先行きが暗いとされる現代社会において、地方都市に住む彼らにとってはその格差がより一層重くのしかかって来る。そんな中、マイルドヤンキー層は、彼らなりに悟ったかのような諦観とリアリズムを感じつつも、地元の仲間との繋がりでタフに生きようとしているのかもしれない。 <取材・文/HBO取材班>
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会