「ポッキー」×「午後の紅茶」――同業他社コラボ商品がバズった理由

同業他社のイメージなかった?2月後半発売で思惑一致

 キリンビバレッジとグリコ乳業は2011年、チルド飲料事業で提携を開始した。キリンビバレッジには、東日本に比べ手薄な西日本方面のチルド商品の販売・物流を補いたいという狙いがあった。提携後は、2013年7月にキリンビバレッジの『世界のKitchenから』ブランドのアイスバーを江崎グリコ社がライセンス発売するなど、両社の関係性は深まっている。  とはいえ、江崎グリコは「カフェオーレ」(グリコ乳業)などの人気飲料ブランドを持っている。キリンの飲料ブランドとのコラボ展開にあたり、社内調整などで難しい点はなかったのだろうか。 「確かに飲料ブランドを持っているメーカーという意味では同業ですが、正直なところキリンビバレッジ社に対して同業というイメージはあまりないんです。キリンビバレッジ社は飲料がメイン、当社は食品がメインと割り切っているところがありますし、何より『売り場が異なる』という点が大きい。今回のコラボについても、社内の調整などは特に難しくはなかったですね」(江崎グリコ/グループ広報部) 「『午後の紅茶』と『ポッキー』は、リラックス・癒しという共通した商品ニーズがあります。2月後半という発売タイミングにおいても、双方の意見が一致したことも追い風になりました」(キリン/コーポレートコミュニケーション部)  2015年の第1弾は2月17日、今年は2月16日といずれの発売タイミングもバレンタインデー直後だ。このタイミングにも理由があるという。 「バレンタインデー後の2月後半は、飲料・菓子ともに話題が少ない時期です。バレンタイン関連商品を撤収したあとのスペースに、何か話題となる商品を提供できないか、と考えていました。この戦略が幸いし、第1弾では、多くのコンビニやスーパーの陳列スペースを獲得することができました。好評だったことで、昨年の3月には早くも第2弾の発売が決まりました」(キリン/コーポレートコミュニケーション部)  両社のブランドイメージと、発売したいタイミングの一致からはじまった今回のコラボ企画。バレンタインデーとホワイトデーの谷間にあたる2月後半は店舗にとっても、新しいしかけが求められる時期。ハロウィンやイースターなど、新しいイベントも年々盛り上がりを見せるいま、“隙間”を狙った商品や施策にますます注目が集まりそうだ。<取材・文/齋藤純子>
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