photo by Philip Halling(CC BY-SA 2.0)
スウェーデン政府がIKEAのために外交方針を変えることになった。
IKEAは、モロッコのカサブランカの近くの都市モハメディアの郊外に新たなショップを開設する予定になっていた。しかし、モロッコ政府の管轄当局は開設の為の認定に不備があるとして、IKEAは開設の為の許可書の入手が出来ず、開設出来ない状態が続いていた。それが昨年の9月である。
スペインの通信社『
Europa Press』が、9月29日付の現地紙「Le360」がその問題を明らかにする情報が報じらていたとしている。それによると、今回の開設認定が保留されたのは政府与党と野党が合意して決めたからだという。その理由は、ポリサリオ戦線による活動で西サハラが独立することをスエーデン政府が支援しているからだ。このスウェーデン政府の外交政策はモロッコにとって都合の良くないものだったのである。
西サハラは1886年にスペインが保護領土とし、1924年からはスペイン領サハラとしてスペインの植民地となった。その後、1975年になるとスペインはフランコ独裁体制が崩れようとしていた。それを見計らったかのように、モロッコは西サハラのモロッコへの帰属の主張を強めた。同年、スペインは西サハラ領有権を放棄して、北部をモロッコが、そして南部をモーリタニアが統治することでスペイン政府は了解した。その後、モーリタニアは西サハラの領有権を放棄。その結果、西サハラは現在モロッコの支配下にある。
しかし、西サハラの住民の中からスペインが領土を放棄する前から独立を目指す動きが生まれ、独立運動はいずれ武装組織へと発展した。それがポリサリオ戦線だ。彼らはサハラ・アラブ民主共和国としての建国を目指している。一方のモロッコ政府は西サハラを実効支配するようになると、ポリサリオ戦線との紛争も外国からの干渉を避ける為に国内問題として扱おうという姿勢に変化させようとした。しかし、それは国際的に受け入れられていない。一方のポリサリオ戦線は、こうしたモロッコ政府に反旗を翻し、アルジェリアとリビアから支援を受けて1976年から武力闘争を開始した。もちろんこの様な紛争の背景には必ず資源問題も隠されている。西サハラにはリン鉱石と海洋資源があるのだ。
1991年にモロッコとポリサリオ戦線は国連の仲介で停戦に合意して1992年に西サハラ住民による住民投票によってそのモロッコに帰属するか独立するかを問うとした。しかし、現在まで、モロッコ政府がその実施を拒んでいる。そして、モロッコ政府は西サハラに自治権を与えるという姿勢も示しているが、まだ充分には明確にはされていない。