ココイチ買収でハウス食品がアジアにカレー王国建国!?

 12月1日、ハウス食品はカレーチェーン「CoCo壱番屋」を経営する壱番屋の買収を完了した。その株の大半を創業者一家から取得する円満な子会社化だ(ハウス食品の総取得株式は51%に達した)。
カレー王の座を盤石にしたココイチとハウス

期間限定商品も多いココイチ。いずれは、バーモントカレーがメニューに載ることも!?

 しかし、なぜこのタイミングで買収したのか? 壱番屋はカレーチェーンとしては国内単独トップの規模を誇っており、業績も過去最高潮。2015年5月期連結決算における最終利益は27億円と過去最高を記録している。  突然の買収劇について、経営コンサルタントでありM&Aに詳しい安部徹也氏に分析してもらった。 「M&Aの世界では、会社を売るなら好調な時にというのがセオリーです。譲渡時のプレミアも大きくなりますからね。実際、壱番屋の株価は6000円前後と2年前の3倍近くに上がっており、売却にはいいタイミングです。ただし、創業者・宗次徳二氏はお金に執着しないことで有名な方。今回の株譲渡で得た220億円もボランティア活動に充てるそうなので、金額だけが理由と考えるのは早計でしょう。すでに66歳で完全引退を考える年齢ですから、育てた会社を資本面から任せられる相手を探していたのでしょう」 ハウス食品事業別売上高 そうした文脈では、ハウス食品はこれ以上ない相手だという。 「そもそも両社のビジネスパートナーとしての関係は密接で、子会社化前の段階でも株式の19.55%を保有していました。また、壱番屋で使用するスパイスもハウス食品が卸しているうえ、海外店舗のうち、中国・台湾・韓国では両社で合弁会社を設立して運営しています。財務状況が良好で、堅実な経営方針という点も似ていますね」
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買収後、ハウス食品の海外展開は加速する
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