ロシア人はパタヤかプーケットを目指す
2015.11.26
観光客が多いタイ。取り分け多いのは中国人で、パタヤでも中国語の看板が目立つが、そんな中国語とともにロシア語を併記した看板も増えつつある。
実は国籍別の統計を見てみると、ロシア人の入国者数は2014年で160万人と日本人よりも多いほどだ。しかも、ヨーロッパや南北アメリカ諸国のタイ入国者数で100万人を超えているのはロシアしかない。イギリスやドイツなどタイ好きが多い国でも90万人台に留まっているのを考えると「かなり多い」と言える。
一体ロシア人はなにをしにタイに来ているのか。バンコク在住のタイ人女性と結婚した40代のロシア人N氏に訊いた。
【前編】なぜ、タイのパタヤでは看板に「ロシア語」が併記されているのか?
「ほとんどが旅行だ。タイは物価が安いし、なにより南国っていうのがいい。だから、ロシア人はほとんどがパタヤかプーケットを目指すんだ」
寒い国なので、南国の特に海が好き、という単純な理由がまず挙げられる。
それにしてもパタヤのロシア人受け入れ体制は最近ますます整備されている。最近のパタヤのホテルはロシア人従業員が常駐するか、表示がロシア語併記になっている。なぜこれほどロシア語が溢れるのかというと、おそらくロシア人は日本人と同じくらい英語が苦手だからと思われる。タイに隣接するラオスの首都ビエンチャンにあるタイ大使館はたくさんの外国人がビザ取得に訪れるのだが、ロシア人は記入用紙の英語、例えば「Passport Number」すら読めない人が多いのだ。
このようにロシア人が増えているパタヤだが、やはりぱっと見ロシア人は少ないように見える。それはなぜだろうか?前出のN氏が言った。
「タイに住むロシア人はロシア人同士であまりつるまない。日本のように協力し合うグループ(筆者注:日本人が集まるタイ国日本人会などのこと)は存在しない」
海外在住の外国人は同じ国籍同士で集まる傾向にあるが、単独行動が多いので人数が多いようには見えない。それから、パタヤのバーに勤めるタイ人女性がロシア人を見かけない理由を別の角度から話してくれた。
「ロシア人はあまりお金持ちではないから、コンビニでビールを買って、ビーチに座って飲んでいるのよ」
一方では、グループを形成するロシア人もいる。特に女性だ。パタヤやプーケットではロシア人女性が働くロシアン・バーがあるし、バンコクではホテルなどで売春をしている。そういった出稼ぎのためにグループになる人も、そう多くはないがいる。
しかし、単に「北国のロシア人は南国が好きだから」というだけではない事情もある。
次ページ「2010年から始まったロシア人による不動産投資のブーム」では、ロシア人増加の一因である2010年から始まったタイ不動産投資ブームについての証言を紹介する。
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM)>
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