「マタハラ」認知度は高まるも依然職場環境に変化はなし

photo by VaniaRaposo(CC0 Public Domain)

 昨年は、最高裁で初のマタハラ訴訟の判決が出され、広島市の女性が勤めていた病院に妊娠を契機に降格させられたのは男女雇用機会均等法に違反と判断されるなど、マタハラという言葉が一般的になりつつある昨今。しかし、その認知度の高まりに反して、実態はいまだ蔓延っているのが現実だ。  そんな中、8月27日、日本労働組合総連合会(連合)は、「第3回マタニティハラスメント(マタハラ)に関する意識調査」の調査結果を公表した。  同調査は8月12~14日の間に全国在住の過去5年以内に、在職時妊娠経験がある20代~40代女性654名を対象に行われた。非正規と正規雇用の割合は59.7%:40.3%だという。  調査によれば、マタハラという言葉の認知度は93.6%と第1回調査時の6.1%、第2回調査時の62.3%から大きく認知度が上がった。しかし、「状況の変化を感じない」という声は63.5%に及び、依然として改善されていないことが明らかになった。  自身のマタハラ被害については、「妊娠・出産がきっかけで、解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導などをされた(出産告知後・産休中・産休明け1年以内)」のが11.5%、「妊娠中や産休明けなどに心ない言葉を言われた」が8.0%が挙げられる。特に「妊娠中や産休明けなどに心ない言葉を言われた」という被害は非正規より正社員のほうが圧倒的に多く、前者が5.1%なのに比べて後者は12.3%にも登った。一方、非正規の場合は、「妊娠・出産がきっかけで、解雇や契約打ち切り、自主退職への誘導などをされた(出産告知後・産休中・産休明け1年以内)」が正社員より多く、正社員8.8%なのに比べて非正規13.2%という結果になった。  今回の調査でも、仕事をしながら妊娠がわかったとき55.9%の女性がなんらかの「不安を感じた」と回答している。「女性が活躍できる社会」を標榜するのであれば、こうした不安を解消する事こそが重要であり、少子化対策にも繋がるのではないだろうか。 <文/HBO取材班>
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会