黒田総裁が円安幕引きに動いた理由はやはり「これ」!?

吉田 恒氏

吉田 恒氏

 黒田日銀総裁の円安牽制と受け止められた発言が飛び出したのは6月10日だった。その少し前、6月6日付けのロンドン・エコノミスト誌は「Signs of a slowdown(世界経済に減速の兆し)」とのタイトルの記事で、「円安が他国で問題を引き起こしている」と批判的に報じた。  こういったことから、黒田氏が円安牽制したなら、それはこの「円安弊害論」を意識したうえで、円安の幕引きに動いた可能性があったのではいなかとも考えられた。仮にそういった面があったなら、今はさらに円安放置しにくくなっている可能性は注目される。  この6月10日の発言前は中国株は青天井の上昇が続いていたが、発言直後から一転して暴落に変わったわけだ。「円安が輸出競合相手である主にアジア諸国にとってデフレ圧力になっている」(エコノミスト誌)といった論調はいよいよ無視しにくくなっている可能性があるかもしれない。 ⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=54718
かい離率

<資料>

 そもそも、1990年代後半のアジア通貨危機は、1998年にかけて147円まで「超円安」が展開したことが一因との見方があった。最近のドル高・円安は、5年MA(移動平均線)からのかい離率などで見ると、そんな1998年に肩を並べる行き過ぎた動きになっていると見られる<資料参照>。「第2アジア通貨危機」を引き起こしてもおかしくない円安ともいえるわけだ。(了) ◆8月のFXアカデミア関連の会場及びWEBセミナーのご案内 8月19日= M2JFXアカデミア予測編第一部 http://www.m2j.co.jp/seminar/ 【吉田 恒氏】 1985年、立教大学文学部卒業後、投資情報会社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。 2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。 著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など ●FXマーケットスクウェア http://www.m2j.co.jp/landing/fx_market_square/ ●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi ●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会