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タイのコンビニシェア第1位のセブン-イレブンで日本風コンビニ弁当が人気
タイのコンビニシェア第1位のセブン-イレブンで日本風コンビニ弁当が人気
高田胤臣
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2015.07.22
タイのコンビニにはグリコの商品が多く並ぶ。
和食ブームのタイでは和食店が石を投げれば当たるほど多い。しかも、日本人常駐で味は日本のまま。日本の大手チェーン店も多数進出しているので、日本とほぼ同じ食生活ができる。そのため、10年以上前は日本に帰れば刺身や焼き鳥などを堪能して日頃の欲求不満を解消していたものだが、今や日本で和食を食べるありがたみが薄れてしまった。 しかし、そんなタイにあっても食べられない「日本食」があった。それは、コンビニ弁当である。 タイにはタイ国内シェア6割を誇るセブンイレブンを筆頭にファミリーマートやローソンなど日本のコンビニも進出しており、これまでもポッキーやかっぱえびせんなど日本で定番のお菓子などは普通に販売されていた。というのも、グリコやカルビーなど、大手の菓子メーカーもタイに工場があるのだ。しかし、タイ料理の弁当や冷凍食品系の弁当は数年前から出始めていたものの、いわゆる日本で見かけるようなコンビニ弁当や惣菜系とは別物だったのだ。 ところがである。昨年からタイのコンビニが急速に日本に近づいてきているのだ。
おにぎり、カルビ丼……日本化するタイのコンビニ弁当
おにぎりはときどき米が硬いなど、クオリティーが安定してない感はある。
まず登場したのがセブンイレブンにおにぎりだった。シーチキンマヨネーズ、サーモン照り焼き、えびマヨネーズが出た。価格も25バーツ(約91円)。これらは包装の剥がし方は日本のそれとまったく同じだ。 続いて、コンビニ弁当もまた日本風が出てきた。「ねぎ塩豚カルビ丼」だ。価格は49バーツ(約180円)と安い。ただ、タイのコンビニ弁当はタイ人サイズなので、この豚カルビ丼の容量は240グラム(うち米は約185グラム)と少ないのが残念なところだ。 味はおにぎり同様に日本のクオリティに比べるとやや劣る部分はある。「ねぎ塩豚カルビ丼」は肉が薄すぎてカルビよりもベーコンを食べているような気もしてくる。しかし、180円レベルで日本のコンビニ弁当に近い味が食べられるのならば、まあそんなには悪いものではないと納得できる。 先日は「目玉焼きハンバーグステーキ弁当」が45バーツ(約164円)で発売開始され、同時に「照り焼きサーモン丼」も登場している。弁当の容器にもう少し気を遣ってもらうと、より日本のコンビニ弁当に近くなるのだが、こちらの電子レンジの事情もあってか素っ気ない。 味は照り焼きサーモンのほうは、タイ人向けに甘めの照り焼きに仕上がっていて、日本人にはちょっと向かないかもしれない。一方、ハンバーグはレトルト感が全開で、逆に清々しくて好ましい。ほとんどファミレスで食べるハンバーグといった雰囲気だ。タイには大手飲食店が数多く進出してきていても、ファミレスだけはまったく来ない。そのため、ファミレスの味もまたコンビニの味同様に懐かしいのだ。 こうしてセブン-イレブンを中心にコンビニ弁当のクオリティがアップしてきている背景には、タイのセブン-イレブンをフランチャイズ展開しているCP(チャルーンポーカパン)グループの中核事業がアグリビジネスであり、日本のセブン-イレブンのプライベートブランド「セブンプレミアム」の中に、同グループが製造した原料が提供されているなど日本のセブン-イレブンとの関係性の強さが影響していると思われる。
タイで人気の日本のあのお菓子の模倣品(?)も
タイのコンビニの急速な日本化の中、タイ人にも話題になっているのが、洋菓子「ラ・ペン・バナナ」だ。ラ・ペンはブランド名で、バナナとつくことからもわかるように、ふんわりとしたスポンジにバナナ風味のクリームが内包されている。 そう、日本の菓子「東京ばな奈」に完全にそっくりの菓子なのだ。 この「東京ばな奈」はタイ人への日本土産でよく知られており、タイ人でさえも「これ、パクリなんじゃないか?」とネットで話題になったほどだ。 味は当然ながら、本家よりも濃厚さや香りは足りない。しかし、おにぎりしかり、弁当しかりで、日本のコンビニ製品を真似て出し始めた最初の年にしてはかなりクオリティが高い。 「ラ・ペン・バナナ」はたったの12バーツ(約44円)だ。日本の本家が1個120円レベルと比べるとかなり安い。コストパーフォーマンスがよいので、味や食感は安い分悪くても仕方がないかと納得してしまう。「ラ・ペン・バナナ」を評価するタイ人からも「本物の方がいいが、わざわざ日本のものを買いに行くことを考えれば、まずはこれで十分」といった声が多い。
⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=51452
一見して東京ばな奈の類似商品であることがわかる「ラ・ペン・バナナ」。
サイズは本家よりも気持ち程度やや大きめ。
味も本家ほどではないにしても、決してまずくはない。
いまやタイのコンビニも日本と同じような感じになりつつある。長期滞在の日本人には嬉しいかもしれないが、日本から来る観光客には、あまり変わりがなくて驚くかもしれない……。
⇒【画像】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=51456
「コアラのマーチ」も20~25バーツ(約73~91円)で数種類ある。
コアラのマーチのパッケージにイスラム教徒でも食べられるかを示すハラルマークがある。タイの食品は日本よりもずっとイスラム教徒に気を遣っている。
昔からある日本語のどうぞから取ったせんべい「ドーゾ」。
「さくさくさくらえび」のタイ版と思われるカルビーのスナック菓子。
去年くらいからタイで黒豚が流行し、早速菓子にも登場した。
タイの弁当は量がやや少ないので、成人男性にはひとつでは足りないかもしれない。
ハンバーグ弁当のポスター。日本人しか反応しないような気もするが……。
「照り焼きサーモン丼」のパッケージ。素っ気ない感じがちょっと残念?
「目玉焼きハンバーグステーキ弁当」は日本のコンビニ弁当もしくはファミレス料理の再現度としてはわりと高い。
<取材・文・撮影/高田胤臣 Twitter ID:
@NatureNENAM
>
高田胤臣
(Twitter ID:
@NatureNENEAM
) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『
亜細亜熱帯怪談
』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『
バンコクアソビ
』(イースト・プレス)など
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