「原発ゼロの社会は政治が決めれば、できるのです」小泉元首相・福島講演で怪気炎の舞台裏Vol.3

 原発事故から4年目の3月11日、小泉純一郎・元首相が福島県喜多方市で講演を行い、原発再稼動に突き進む政府(安倍政権)を「ウソつき」「呆れた」と批判しながら、原発ゼロの社会を目指そうと訴えた。 ⇒Vol.2「政府は未だにウソを言っている」

原発再稼働に「呆れています」

小泉元首相

講演後の囲み取材で、記者の質問に答える小泉元首相

 原発再稼働に突き進もうとしている安倍政権に対して、小泉元首相はこんな警告を発した。 「世界の人はみんな言っていますよ。『日本の原発はいちばんテロに弱い』と。テロであのアメリカの貿易センターみたいなことをやられたら、もう原発はおしまい。この福島どころでは済まない。(安倍首相が言うように、日本の安全基準が世界で)いちばん厳しいのだったら、国民に『どこがアメリカやフランスや他の国の原発に比べて、いちばん厳しくて安全なのか』と説明があってしかるべきでしょう。何にもないのです。それで、また再稼動させようとしている。呆れていますね」  自衛隊トップだった冨澤暉・元陸幕長も「日本にとっていちばん恐ろしいのは、原発をテロゲリラに襲われること。テロゲリラ対策をしないと、福島原発事故以上の被害を招く恐れがある」と警告している。  小泉元首相は、安倍首相の発言についても問題視した。 「4年前に起こった原発事故の汚染土や除染のゴミが出た。『汚染水はコントロールされている』と誰か(=安倍首相)が言っていましたが、全然コントロールされていないのですよ。 『よくもあんなことが言えるな』。ゴミの捨て場も決まっていない中、『最終処分場は政府が決める』というのは本当に呆れてしまいます」

自然エネルギーで経済成長できる

 そして、安倍首相が直視すべき現実を突きつけた。 「ドイツは『原発をゼロにする』と言ったけれども、原発は何基も動いている。ところが日本は『原発ゼロだと立ち行かなくなる』と言ってきているのに、もう1年半原発ゼロでやっている。  世界で原発をもっている国で、『原発ゼロ』とは言わないけれども、1年半以上も原発ゼロでやっているのは日本だけです。暑い夏、寒い冬、原発ゼロでも停電は起きていない」  さらに、かつての日本が戦争に突入する背景にあった「満州は日本の生命線」という論調と、「原発再稼働は経済成長に不可欠」と訴える安倍政権を重ねあわせた。 「『満州を失ったら日本は駄目になる。日本の生命線だ』と言われた。(しかし敗戦で)満州、台湾、朝鮮を失って、それでも戦後日本は発展をしてきている。  石油ショックがあったおかげで日本は環境先進国になった。政治が原発ゼロに舵を切れば、必ず自然エネルギーで経済成長ができるような国になる。  夢のある壮大な事業だけれども、この原発ゼロの社会は今よりも必ずもっといい社会になる。政治が決めれば、できるのです」

環境が整っているのに、何もやらないのは惜しい

 講演後の囲み取材でも小泉元首相は、「首相が原発ゼロと言えば自民党の多数も協力する。ピンチをチャンスに変える環境が整っている。これを生かすべきだ」と強調。  安倍首相については、首相在任中に国会審議で「人生いろいろだ」と発言したことを引き合いに「首相もいろいろだ。(なぜ原発ゼロを決断しないのか)わからない。やればできるのにやろうとしない。一国の指導者として、環境が整っているのに何もやらないのは惜しい」と首を傾げた。 <取材・文・撮影/横田一>
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