「政府は未だにウソを言っている」小泉元首相・福島講演で怪気炎の舞台裏Vol.2

 原発事故から4年目の3月11日、小泉純一郎・元首相が福島県喜多方市で講演を行い、原発再稼動に突き進む政府(安倍政権)を「ウソつき」「呆れた」と批判しながら、原発ゼロの社会を目指そうと訴えた。 ⇒Vol.1「原発ゼロの社会こそ日本の歩むべき道」  小泉元首相は、「総理在任中は原発推進をしてきたのに、辞めたら『原発をゼロにする』と言うのは無責任」と批判されている。約1000人の参加者に向かって「なぜ自分が原発推進から脱原発になったのか」について説明を始めた。

信じていた「原発推進の根拠」に疑問

小泉元首相

小泉元首相は、2014年2月の都知事選で「原発ゼロ」を掲げ立候補した細川護煕元首相を全面支援した

「(総理大臣時代に)専門家から『原子力はこれから日本にとって、なくてはならない電源だ』『日本は資源がない。文明生活、経済成長を遂げるには、原発はなくてはならないものだ』と伺い、『そうなのかな』と思って推進してまいりました。  推進の根拠は、原発は『安全』『コストがいちばん安い』『クリーンエネルギー』という3点。このことを真に受けてまいりましたが、4年前に原発事故があり、書物を読んだり、専門家の意見を聞いたり、調べていくうちに全部ウソだということがわかった。 『よくも未だに政府はウソを言っているな』と呆れているのです。総理を辞めたからと言って(ウソに)頬かむりをして寝ていればいいのか、と思うようになりました」(小泉元首相) 「安全」については、約50年前に原発を導入してから、1979年にアメリカのスリーマイル島、1986年にもソ連のチェルノブイリ、そして日本でも2011年に福島の事故が起きたことを紹介、「50年間に3回も大きな事故を起こしている。安全とは言えない」と断言した。  また昨年、原子力規制委員会の田中俊一委員長が「九州電力の川内原発が新しい審査基準に合格したが、安全とは申し上げられません」と言っているのに、政府が「原発は安全」と言い出している矛盾を問題視。その上で「説明責任を果たしていない」と安倍政権を批判した。 「なおかつ(安倍首相は)『日本の安全基準は世界でいちばん厳しい』と言っている。そう言いながら、アメリカやフランスの原発に比べて、日本の安全基準のどこが厳しいのかということを1つも説明していない」

「いちばんコストがかかるのが原発です」

安倍首相

今年1月の佐賀県知事選で、原発再稼働推進派の古川康前佐賀県知事を応援する安倍首相

 続いて小泉元首相は、原発のコストについても「お金がかかるのに『いちばん安い』とよく言えるな」と一刀両断。 「未だに経産省も電事連も直そうとしない。いちばんコストがかかるのが原発です。被害者に対する賠償も原発会社だけで負担をしきれない。廃炉にも40~50年もかかる。  さらに原発立地自治体に了解してもらうために莫大なお金(原発マネー)を配らないといけない。  いま原発会社(電力会社)に民間金融機関は融資しません。事故を起こしたら(融資が)不良債権になるのがわかっていますから、政府が保証しない限り融資をしない。安全でないことがわかっているのに(安倍政権は)できるだけ早く再稼動させようとしている」 「クリーンエネルギー」に対しても、「核燃料を燃やす時には温暖化ガスの二酸化炭素を出さなくても、(ウラン燃料採掘や施設建設など)原発全体では石油を使って二酸化炭素を発生させている」と指摘。 「温排水や配管洗浄用の薬液を放出して地域の生態系が変わってしまう」ことから「クリーンでもなんでもない」と言い切った。  再稼働や輸出など、原発推進に突き進む安倍首相を小泉元首相は公然と批判した。かつてコンビを組んでいた二人は、なぜ正反対の道を選ぶことになったのか。 ⇒Vol.3「原発ゼロの社会は政治が決めれば、できるのです」に続く <取材・文・撮影/横田一>
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