メシマズ者必見。料理を出した相手が無理して食べている時の表情は簡単に見分けられる!?

美味しい顔

TWO / PIXTA(ピクスタ)

「美味しい」表情はあるのか?

 こんにちは。微表情研究家の清水建二です。先日、はじめてオンライン懇親会を開催してみました。食べ物・飲み物を各自持ち寄って行うのではなく、「同じ物を味わう」ことを通じて一体感をより感じられるのではないかと考え、同じ食べ物をPC越しに用意し、懇親会を行いました。  結果、「特に同じ食べ物でなくても一体感に変わりはなかったかも」と思うに至りましたが、それはさておき、オンラインだとリアルな懇親会に比べ、一目で多数の方の表情を観ることが出来、便利だと感じました。  そう、主催者は参加者の皆さんの様子が気になります。オンラインでは得られる情報が限られてくるため必然的に表情に目が向かいます。主催者として皆さんが食事に満足されているか気になるのです。食事に満足している・満足していない。とどのつまり、美味しいと感じているか表情から察しようとしています。  しかし、美味しい表情について科学的知見の蓄積は少なく、はっきりとした結論に達していないのです。そこで本日は、美味しい表情について考えたいと思います。

不味いはネガティブ表情、美味しいは真顔?

 味覚と表情との関係を扱う先行研究の多くは、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味という基本5味と表情との関係について調べています。各味覚を代表する水溶液を実験参加者に味わってもらい、味わっているときの表情を計測するという方法で行われます。実験の結果、各味に特徴的な表情が見出されています(例えば、本連載の第33回参照)。  数としては少ないものの、実際に販売されている飲料水と味の好き嫌いとの関係について調べている研究もあります。実験方法は、基本味のときの方法と同じです。実験結果は、どんな飲料水を実験に用いたかによって異なりますが、概ね、好きな味に対する特定の表情反応は計測されず、嫌いな味に対してネガティブな表情反応が計測されています(例えば、Zeinstraら2009、Dannerら2013)。  不味いと感じる味にはネガティブ表情が生じ、美味しいと感じる味には何の表情も生じないのはなぜでしょうか。前者の関係をもう少し細かく見てみますと、腐った食物と関連する酸味や毒に関連する苦味に対して、私たちは鼻にしわを寄せる嫌悪表情を生じさせます。鼻にしわが寄ることで鼻の穴がふさがります。これは、酸味や苦味のある物を体内に取り入れないようにするメカニズムが作用している結果ではないかと考えられています。  一方、美味しいと感じるものを食べているとき表情を生じさせないのは、栄養価の高いものを食べていると周りに悟られ、食物を奪われてしまうのを防ぐためだという説があります。私たち祖先の行動パターンの名残です。確かに定食屋さんで「この肉、美味い!」と感じても、真顔で黙々と食べている自分がいます。
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本当に美味しいと感じている時の表情は目元に注目
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