東京新聞の聖火リレー動画削除。その報道姿勢には批判より声援を
批判する気になれない理由
他社との共闘も難しい場面で東京新聞の五輪取材全般を困難にするリスクを犯せないことを、部外者が批判するのは過剰だろう。 Twitterをざっと見渡すと、「戦ってほしかった」とするものや、組織委のルールに従った東京新聞を「自発的奴隷」などと呼ぶものもある。しかし上記のように東京新聞はきっちり戦った。戦う意思を維持している者を貶めてどうする。応援すべきではないのか。 動画を削除するかしないかに因われず、東京新聞と原田記者が伝えた内容とその姿勢に目を向けるべきだ。彼らは、報道の、ジャーナリズムの基本となるべきファイティング・スピリッツを示してくれた。 たとえ負けたとしても、とりあえずその時点で殴れる分だけは殴っておく。次にまた殴るために、再起不能になる事態は避ける。そのために殴りながらひとまず下がる。「今後も殴るぞ」と威嚇することも忘れない。 実に立派なケンカだった。勝手ながら、その姿勢には私自身(新聞記者ではなくフリーランスだが)も励まされたような気分にさせられる。 東京新聞や原田記者がこの先も必要な場面でカッコいいケンカができるよう、しっかり評価して皆で背中から支えるべきだ。他の新聞社や記者たちがうらやんでウズウズして、五輪問題以外も含め随所でカッコいいケンカが繰り広げられるようになるくらい、でっかい声援を送ってほしい。 <文/藤倉善郎>本来ならルールが提示された時点で新聞メディアが総出で対抗すべきですが、ご存知のように弊社以外は利害関係者になっていて、徒党を組むことができません。悔しいです。
— 原田遼 (@N9kLtpthc9thCRP) March 28, 2021
ふじくらよしろう●やや日刊カルト新聞総裁兼刑事被告人 Twitter ID:@daily_cult4。1974年、東京生まれ。北海道大学文学部中退。在学中から「北海道大学新聞会」で自己啓発セミナーを取材し、中退後、東京でフリーライターとしてカルト問題のほか、チベット問題やチェルノブイリ・福島第一両原発事故の現場を取材。ライター活動と並行して2009年からニュースサイト「やや日刊カルト新聞」(記者9名)を開設し、主筆として活動。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)
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