アストラゼネカ製COVID-19ワクチンに欧州医薬品庁が緊急会見。ワクチンに必要な「信用性」を損ねるのは誰なのか?
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Marc Bruxelle / Shutterstock.com
アストラゼネカ製COVID-19ワクチンに関する緊急情報
2021/03/19の時点では、「因果関係は不明だが、血栓の発生と死者がごく希に発生しているとの報告がある。一方でワクチン接種による利益は遙かに大きい。従ってEMAとしては、ワクチンのパッケージに血栓発生の注意事項を明記し、接種の継続とする。EMAは、この有害事象について科学的検討を継続する。」というものでした。 筆者はこれを妥当と評しています。BBC Breaking
— Hiroshi Makita Ph.D. (@BB45_Colorado) March 18, 2021
EMAによるアストラゼネカのワクチンの安全性検証報告記者会見
今
同通付おそらく2時までの1時間
BBC pic.twitter.com/R15uwzYrGb
それからわずか20日後の日本時間2021/04/07深夜にEMAは緊急記者会見を行い、アストラゼネカ製ワクチンの「副反応」として血栓の発生を認めました*。 〈*血栓は「アストラゼネカ製ワクチンのごくまれな副反応」=欧州当局 2021/04/08 BBC〉 このEMAによる緊急記者会見もBBC World Newsによって同通付で放送され、やはり偶然にCNNからBBCへ切り替えていたために視聴することができました。 EMAとMHRAによると、「極めて珍しい症例であるが、2千万人に接種して79人に血小板減少による血栓が発生している。そして、19人が死亡している。これらはワクチン接種のあとに発生しており、因果関係の実証は難しいが否定はできない」というものでした。また、これは治験では発見できなかったと述べていますが、治験規模は数万人ですので、百万分四(4ppm)の副反応が発見できなかったことは、開発期間が1年未満であることからもやむを得ません。 またこの副反応は、30歳以下の若い女性に偏在しているということです。 EMAは、ワクチン接種による利益はとても大きいために接種は継続するが、本人と医師の判断が出来る様にするためとリスク回避のためにアストラゼネカ製ワクチンには添付文書としてこの副反応を明記するとしました。また第一回目接種後に血小板が減少した場合は、第二回接種(ブースター)は行わないようにと提言しました。 全く同時に緊急記者会見を行った英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は、アストラゼネカ製ワクチンは、接種によって得られる利益は極めて大きいが、30歳以下の女性には別のワクチン(ファイザー・ビオンテックやモデルナなど)を提供すると述べました。 これは極めて重大な記者会見で、これをリアルタイムで、しかも同時通訳付で視聴できたことは幸いでした。BBCの国際放送とCNNの国内放送が、時間によっては同通付で1026円というたいへんな安価でストリーミング放送されていることは、国内のCOVID-19情報が国策翼賛エセ医療・エセ科学デマゴギーで嘘にまみれ腐りきっている本邦では暁光といえます。筆者はこの15ヶ月間、CNNかBBCを常時流しっぱなしにしていて、プリキュアを観ることができません。 このアストラゼネカ製ワクチンに発見されたたいへんに珍しいとされる副反応は、それを回避することが不可能ではなく、また接種で得られる利益が大きいことから今回のEMAとMHRAの対応は妥当と考えます。血栓問題には、継続して調査する。
— Hiroshi Makita Ph.D. (@BB45_Colorado) March 18, 2021
血栓との因果関係は分からないが、血栓が生じた事実は否定しない。
接種による受益とリスクの比較考量により、アストラゼネカのワクチンについては、安全で有用であり、接種は継続する。但し、判断材料として血栓の事実はパッケージに注意書きする。
BBC
←妥当
リスクと利益(ベネフィット)の比較考量
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北米、南米、欧州、アジア、アフリカ、大洋州と日本、オーストラリア、韓国、ニュージーランド、台湾における百万人当たりの累計死亡者数推移(ppm線形) 2020/01/22〜2021/04/07/ 北米、南米、欧州、アジア、アフリカ、大洋州と日本、オーストラリア、韓国、ニュージーランド、台湾における百万人当たりの累計死亡者数2021/04/07時点
アジア全体と、東部アジア・大洋州諸国における百万人当たりの累計死亡者数推移(ppm線形) 2020/01/22〜2021/04/07/日本は上から4番目で、失敗国に特徴的な曲線であるOWID
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