3月28日朝日新聞朝刊に掲載された広告(広告朝日のTwitterより)
朝日新聞が3月28日朝刊に「新しい世界に羽ばたく人に贈りたい 本の力」と題して、12冊の書籍を紹介する全面広告を掲載した。12人が書籍を1冊ずつ推薦する形式で、自社の書籍を紹介する出版社社員、自著を推薦するタレント、自著以外から選定した本を推薦するエッセイストなどが混在。その中で、
浄土真宗親鸞会の教祖・高森顕徹会長の著書が上段に掲載されていた。
親鸞会は、
一般的な浄土真宗各派とは無関係の新宗教団体。地域の公共施設や大学などで、宗教団体であることを隠したり別趣旨の団体を装ったりする「
偽装勧誘」で知られている。全国の大学では新入学シーズンに「カルト勧誘」への注意を学生に呼びかけているが、大学が公に名指しするケースこそしないものの、多くの大学が事実上の「要注意団体」として意識している複数の宗教団体の1つだ。
〈参考記事:
「怪しい勧誘に注意」だけじゃ足りない! 大学・高校でカルト勧誘を断る方法〉
問題の広告は、タイトル下に以下のようなリード文が付けられている。
〈進級、進学、卒業、就職……いま新しい世界に飛び立とうとしている人たちに何か力になるものを贈りたい。(略)様々な方面の方々が「君にこそこの本を贈りたい」と厳選した一冊をご紹介します。〉
このすぐ下に、親鸞会教祖・高森顕徹会長の著書『
歎異抄をひらく』(1万年堂出版)が掲載されている。版元である親鸞会系出版社、1万年堂出版の社員と思しき人物が歴史作家・司馬遼太郎の言として「無人島に一冊持っていくなら『歎異抄』」という言葉を添えている。
親鸞会教祖・高森顕徹会長の著書『歎異抄をひらく』(1万年堂出版)を推す、浄土真宗親鸞会の関連企業である1万年堂出版の編集者。
進級、進学、卒業、就職という節目にある人々に向けた広告として、全国の大学で偽装勧誘が問題視されている親鸞会教祖の著書を宣伝する。悪い冗談のような企画だ。
3月28日の朝日新聞に掲載された他、同日に朝日新聞社メディアビジネス局のTwitterアカウント「
広告朝日」も紙面の複数の寄稿者の個人名を列挙し画像を添えて
告知した。
親鸞会は、大学生に限らず社会人や中高年に対しても偽装勧誘を行う。地域の公共施設等を使用して、仏教講座、アニメ上映会、読書会、異業種交流会など様々な名目でイベントを開催し、親鸞会の講師が所属を明示せず講師として立ち、親鸞会関連のアニメや書籍を教材にする。
新型コロナウイルスの感染が拡大して以降も、「オンライン講座」の形態も取り入れつつ対面での同様の活動を続けている。