五輪スポンサーの車ばかりが目立つ聖火リレーの車列(時事通信社)
今年開催される東京オリンピック・パラリンピックは、史上類を見ない大量の死者を出す大会になりますね。大会後の感染爆発によって、どれだけの死者・重傷者が出るのか予測しておかなくてはなりません。コロナウイルスに限らず、通常の医療やお産にも影響が出ることになるでしょう。感染収束はもう一年繰り延べにされることになるので、その分だけ多く死者を積み上げることになります。
退避先のある人は東京の外に疎開しておくのが賢明だと思います。オリンピック・パラリンピック組織委員会は、本大会に人生をかけてきたアスリートたちのために、全都民に命がけの協力を求めているのです。アスリートやコーチなど体育関係者も本気ですから、こちらも本気で対策をとっていかないと、むざむざと殺されることになります。
今月18日、東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクター・佐々木宏氏が辞任しました。辞任の理由は、演出プランを練るグループチャット内で、佐々木氏がひどく差別的な内容の提案をしていたことが明るみになったためです。
問題になった提案とは、オリンピックをもじった“オリンピッグ”という豚のキャラクターを設定し、タレントの渡辺直美さんにこれに扮してもらうというものです。渡辺さんに豚の鼻をつけて踊らせて、これおもろいやんかぁということですね。もちろんこの腐った提案は、グループのメンバーによって即時却下。佐々木氏は、渡辺直美さんに謝罪し、ディレクターを辞任しました。
問題は二点あると思います。
第一点目は、佐々木氏が“芸人 渡辺直美”の芸をまったく理解していなかったことです。渡辺直美さんは、その容姿をも生かして、コミカルな役回りを演ずる芸人です。しかし彼女の芸は、ただたんにコミカルというのでは終わらない、セクシーな要素を絡み合わせたものになっています。彼女は、大きな容姿をネタに、コミカルとセクシーを重ね合わせて提示していきます。そのことで、大柄な女=コミカルという“笑い”の形式を反転させる瞬間をもつわけです。それは同時に、大柄な女=不美人という美意識をくつがえす瞬間でもあります。この芸には、既存の価値観を反転させることによって、自分の体型に悩む人やそのことで引け目を感じている人に向けて、元気出していこうよというメッセージが込められています。体型がどうであれ女としての美を追求していくことができる、というメッセージです。それはざっくりと例えるなら、『ELLE』や『VOGUE』を読むような女性たちが模索しているような先進的な表現です。そうであるからこそ、渡辺直美さんの芸は多くの女性に受け入れられ、支持されているわけです。
佐々木氏は、渡辺直美さんに豚の鼻をつけさせるというプランを提案したのですが、これは佐々木氏が、彼女の芸も、それが生み出された文脈も、まったく理解していないことをあらわしています。芸人渡辺直美の本領は、既存の価値観を転倒させるセクシーさにあります。彼女に豚の鼻をつけてしまったら、セクシーも美意識の反転も吹き飛んでしまいます。せっかくの芸が台無しです。芸の内容を理解せずぼんやりとテレビを観ているから、こういうトンチンカンな案がだせるのです。