ミャンマー軍のクーデター発生から2か月。日本政府の「様子見外交」は負しか生まない

Taiwan: Burmese Rally Against Military Killings In Myanmar

(Photo by Ceng Shou Yi/NurPhoto via Getty Images)

 ミャンマー国軍が2月1日に権力を掌握して2か月近く経つ。クーデター発生当初から、日本政府は「重大な懸念」を表明。ミャンマー国軍(タッマドゥ)に「民主的な政治体制の早期回復」を呼びかけ、恣意的に拘禁されている国民民主同盟(NLD)の指導者アウンサンスーチー氏ほか全員の釈放を求めた。また、「民間人に対する暴力」を「強く」非難しつつ、治安部隊によって殺害された抗議者たちへの哀悼の意も表している。

死者が増えるなか、2か月も「様子見」

 こうしたオープンで明確な声明は重要だ。しかし、ほかの民主主義国家がとった具体的な行動と比較したき、日本はいまだに全力を尽くしていないことは明らかである。(参照:外務大臣談話外務報道官談話)  2か月近く、「様子見」外交に終始しているといえるだろう。いっぽう、毎日と言っていいほどデモ参加者の死者数などが増え続けるなか、日本政府には早急な対応が求められている。  ミャンマーの新生民主主義に対する危急を前に、日本は国軍に圧力をかけ、文民統治による民主主義の回復を支援するために有効なツールをフル活用すべきだ。受け身の外交は、罰を受けることなく重大な人権侵害を犯し続けているミャンマー軍をつけ上がらせることになってしまう。  また、このようなアプローチは、外交政策の一環として民主的価値を提言してゆくという日本の公約に背くものでもある。  各国の対応は鮮明だ。ニュージーランド政府は、ミャンマー国軍が11月の国政選挙の結果を無効にし、一年間の「非常事態」を宣言した約一週間後、ミャンマーとの高官レベルの接触を停止し、軍指導者には渡航禁止措置を発動。ジャシンダ・アーダーン首相は、「ミャンマーへのいかなる開発援助も軍事政権を支援するものではない」ことを保障すると述べた。

各国政府やEUは厳しい対応

その数日後、米政府はミャンマー軍の指導者や軍系企業への対象限定型経済制裁を発動し、3月に更なる措置を科した。 また英国およびカナダ政府も、軍高官への制裁措置を発表。オーストラリア政府は、防衛上の協力関係を一時停止し、ロヒンギャ難民を含む「最も差し迫った人道的かつ新たなニーズ」のため、NGOの支援に切り替えた。  EUに加盟する27か国の外相も、クーデターの指導者と、場合によっては軍系企業も含めて制裁を科すことで2月に合意している。また、3月に韓国政府は、防衛および安全保障上の協力関係を一時停止し、世界的な武器禁輸措置に加わったうえで、ミャンマーへの開発援助計画の見直しを開始した。  一方、日本政府はどうだろうか。いまだに、ミャンマーへの政府開発援助(ODA)を今後どうするかを含め、公に行動を示していない。過去何十年にもわたり、日本はミャンマーの主要な開発支援国として、一兆円超の有償資金協力、3000億円超の無償資金協力、980億円超の技術協力を供与してきた(2017年時点)。(参照:外務省)  茂木敏充外相は、「援助を継続するか制裁を科すかという単純な状況ではない」と述べ、日本は「様々な要素」を考慮し「決定を下す」として、政府のアプローチを擁護している。
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中国を盾に人権侵害を黙認する日本政府
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