似非「伝統」や穴だらけの「少子化」論。選択的夫婦別姓をめぐる日本の議論について外国人に聞いてみた

同姓の強制は権利の剥奪と同じ

 <女性の権利>  最後は、これまでも部分的に触れてきた、「女性の権利」についてだ。  「話し合ってどちらかの苗字にするというのと、法律で無理に奪われるのとでは、まるで違います。たとえ夫婦でそれぞれ納得できなかったとしても、話し合うことでお互いをよりよく知ることにも繋がります。  ヨーロッパでも、大半の女性は夫の苗字に変えたり、複合姓にしています。みんないろんな思いがあると思いますが、それでも一応は自分で選択しているわけです。その機会すら与えられないというのは、権利を奪っているのと同じです」(女性・ノルウェー人)  「スゴくシンプルで、ものすごく簡単な話だと思います。男性は、自分が無理に苗字を変える立場になってみるべきです。私の妻は姓を変更したのですが、側から手続きを見ているだけでも大変そうでしたし、機関や企業によっては手数料もかかりました。  私は姓を変えたいとは思いませんし、女性がそう思うなら、彼女たちも自分が好きなようにするべきです。絶対にどちらかの姓を名乗らなきゃいけない理由が見当たりません」(男性・ポーランド人)  「伝統」「少子化」「女性の権利」という3つのキーワードを軸に、選択的夫婦別姓について外国人の意見を紹介してきたが、いかがだろうか?  読者の皆さんにも、家族やパートナーなど、身近な人々との会話をとおして、ぜひ多様な意見に触れていただきたい。 <取材・文/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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