北朝鮮が羅先の「かつら工場」見学ツアー客を募集!? 隔離なしで訪朝と謳う「裏技」とは

羅先・観光客が見学できる工場

羅先・観光客が見学できる工場

中国SNSで募集された北朝鮮の「かつら工場」見学ツアー

 3月から北朝鮮が中朝貿易を一部再開かと報じられるも人の往来は、まだまだ先になるとみられる。にもかかわらず、3月と4月に北朝鮮の工場視察ツアーが企画、募集されている。  視察先は、北朝鮮の羅先特別市のかつら(ウィッグ)とつけまつげを生産する工場で、見学と業務提携の契約まで1回の滞在でのワンストップ成約できると謳う。  このツアーは、中国SNS微博(ウェイボー)上で募集されており、現在も確認できる。アカウント主は中国朝鮮族で羅先在住商人となっている。  一見すると実現可能性の低そうなツアーに思えるが、詳細を見ると、かなり具体的な内容になっている。ちなみに、ウィッグとつけまつげは、それぞれ別のツアーとして実施される。 ・日程 4泊5日 ・参加対象 販売を手掛ける法人 ・ツアー人数 20人(1社2人まで) ・参加費用 6000元(約10万円)/人  費用にはホテル代、朝昼晩の3食(夕飯は日本海で取れた新鮮な海鮮料理)、国内移動費、通訳代も含まれている。  1人10万円という費用は、日本人が羅先観光で2泊3日滞在する旅費とほぼ同額となる。団体でのツアーとはいえ安いと言える。    近年、中国から素材や原料を北朝鮮へ送って製品を生産する中朝加工貿易が盛り上がっている。日本語では加工貿易だろうが、中国では貿易扱いしたくないのか、加工産業という表現を用いる。

北朝鮮の人気商品「かつらとまつげ」

女性用のコスメが並ぶ平壌の貿易展示会

女性用のコスメが並ぶ平壌の貿易展示会

 加工貿易の中でも人気なのが、ウィッグとつけまつげとなる。他にも意外に思えるのが腕時計。中国税関発表の統計によると、2019年の対中輸出額の1位は時計類だったりする。主に腕時計だ。その時計類の輸出額は2020年、前年比85%減。生産に必要な部品が輸入できなかったためとみられる。同じように素材一式を中国から輸入するウィッグやつけまつげも大幅に生産量を減らしている。  これらの加工貿易は、素材の輸送手段の関係で、中国は丹東。北朝鮮は平壌郊外が主要な都市だった。そこへ今後、中国は吉林省琿春と延吉。北朝鮮は羅先を新たな加工貿易の拠点にしたいという狙いがあるようだ。  それを感じさせるのは、ツアー説明に羅先市政府が全面支援との文言が随所で強調されている。だから安心して進出してほしいというメッセージだろう。  そもそも共産主義の北朝鮮は、生み出した利益を朝鮮ウォンはもちろん、人民元や米ドルなど現金で国外へ持ち出せない。そのため、現金ではなく、製品やほぼ完成した素材などとして持ち出すことになる。もっとも、自分が稼いだ利益を現金で国外に持ち出せないのは中国も同じだったりする。中国へ進出した企業が、撤退時に痛い目にあうのはここに関係する。
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かつら工場視察ツアーの日程は?
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