新型コロナ第三波。辛うじて凌いだ韓国と収束失敗した日本の差は第四波で一層拡大か?

よく似た状況の日韓が”全く異なる対応”でどういう結果になるか

IHMEによる韓国における真の日毎新規感染者推移評価と予測(人 感染発生日)2020/08/01-2021/07/01

IHMEによる韓国における真の日毎新規感染者推移評価と予測(人 感染発生日)2020/08/01-2021/07/01 2021/03/06更新/IHME

日本、韓国における日毎新規感染者数の一週間変化率推移(%)2020/09/01-2021/03/11

日本、韓国における日毎新規感染者数の一週間変化率推移(%)2020/09/01-2021/03/11/+で増加、O%で変化無し、―で減少/OWID

日本、韓国における日毎新規感染者数の二週間変化率推移(%)2020/09/01-2021/03/011

日本、韓国における日毎新規感染者数の二週間変化率推移(%)2020/09/01-2021/03/011/+で増加、O%で変化無し、―で減少/OWID

 筆者は、エピデミックの傾向を読み取るために日毎新規感染者数の一週間変化率と二週間変化率*を主として用いています。  韓国では、韓国のお盆である秋夕(チュソク)9/30〜10/4の大型連休を切掛けに「秋の波」が始まったと考えられ、その後11/19に+101%、12/17に+51%と極めて大きな一週間変化率を示しました。韓国では、それぞれK防疫体制の強化によってエピデミックを収束に向かわせており、ソウル首都圏域における大規模一般PCR検査の開始もあって1月中旬には、-30%まで一週間変化率を下げることができました。この傾向を維持すれば、半減期(半減時間)20日となり100日後の4月末までには台湾並みのバブル=安全圏を国内全体に構築出来る見込みがありました。  しかし1月下旬にIM宣教会施設での大田と光州におけるSpike、ついでソルラル(旧正月)によるSpikeにより下げ止まってしまいました。韓国では、3月に入り日毎新規感染者数が増加に転じており、B.1.1.7による非季節性の第四波エピデミックSurgeが始まっていると考えられます。  IHMEによる韓国での真の新規感染者数予測によれば、韓国においてはB.1.1.7による第四波エピデミックSurgeは、統計上は3月下旬に最大値となり、すぐに収束するという見込みです。これはIHMEが韓国では、水際防衛、クラスタ戦略、そしてソウル首都圏域での大規模一般PCR検査をもちいた封じ込め戦略が有効に機能すると高く評価しているためです。  現時点で本邦と韓国は、統計上は非常によく似た傾向を示しており、今回も第三波に引き続き、よく似た隣国同士が、よく似た状況から全く異なる対応でどのような結果となるかを観察する絶好の機会となっており、筆者は今後得られる知見に大いに期待しています。

エピデミックの状態と致命率がきれいに連動する韓国、連動しない日本

日本、韓国、台湾およびアジア全体での百万人あたり日毎死亡者数の推移(ppm  7日移動平均 線形)2020/09/01-2021/03/011

日本、韓国、台湾およびアジア全体での百万人あたり日毎死亡者数の推移(ppm 7日移動平均 線形)2020/09/01-2021/03/011/日本は、1/1に過去の集計漏れを一括計上しているために1/1から7日間の日毎死亡数が跳ねているが、これは一括計上による統計の乱れである。以前は1/19に計上されていたが、評価の邪魔になるので1/1に移された/OWID

アジア全体と日本、韓国、台湾における致命率(CFR)の推移(%)2020/09/01-2021/03/11

アジア全体と日本、韓国、台湾における致命率(CFR)の推移(%)2020/09/01-2021/03/11/OWID

 日毎死亡者数と致命率(CFR)*をみますと韓国は綺麗に日毎新規感染者数と連動しています。これは当たり前のことで、本邦のように日毎死亡者数と日毎新規感染者数の統計上の関連が説明出来ないことが異常です。 〈*CFRとは診断付きの死者数を診断付き感染者数で割ったものである。その為概ね10倍ほどの過大評価となる傾向があるが、実測値として一般的に使われている。これに対し真の死者数を真の感染者数で割ったものはIFRであるが、推定値となる〉  韓国では、第三波エピデミックによる医療への負荷増大によってCFRの上昇がありましたが、第三波エピデミックの収束に伴い医療への負荷は緩和されCFRは下降しつつあります。CFRの増減は、ウィルスの毒性の差異だけでなく医療へのウィルスによる負荷の増減を表しています。現在韓国ではB.1.1.7(英国変異株)による第四波エピデミックが始まっており、これによって医療への負荷が増加すればCFRは上昇すると考えられます。従ってCFRは注視すべき重要指標となります。  このCFRと死亡数、新規感染者数統計について本邦を韓国ほか世界の国々と比較するとたいへんにおかしな挙動を示していることはこれまでに何度も指摘していますが次回、そのおかしさを論じます。
韓国の移動傾向2020/01/13〜2021/03/10

韓国の移動傾向2020/01/13〜2021/03/10
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 韓国では、移動傾向はたいへんに良好な成績で、2020/01/13を基準として現在も-40%近いモビリティ(移動傾向)の減少となっています。但し、韓国の場合なぜか移動傾向の評価に公共交通機関が含まれていません。韓国は、鉄道とバス、地下鉄が発達した国ですので、移動傾向の評価から公共交通が抜けるのは困ります。  韓国の移動傾向は、2/11頃から明らかに増加していますが、IHMEによれば、感染発生は2/11以前から増加していますので少し合っていません。但し、公共交通機関の移動傾向が抜けていますので長距離移動の影響評価が抜けています。また本邦の実例ほか、米欧の例などから、移動傾向の増加よりも屋内外食やパーティによる感染発生への寄与の方が遙かに大きいため、韓国における2月下旬のSpikeは、ソルラル(旧正月)によるものと考えて良いでしょう。
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日韓ともに出遅れたワクチン接種だったが……
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