昔の“量り売り文化”を復活させ、新たな価値を生み出したい
最後に今後のシャンプー量り売りの展開について小林氏に伺うと「ユニリーバと接点のある地域から広げ、コミュニティが生まれるような形にしていきたい」とし、次のように抱負を語った。
「ユニリーバ・ジャパンでは『地域 de WAA』という取り組みがあります。提携自治体の施設を社員がコワーキングスペースとして利用でき、その代わりに地域課題の解決につながるような活動に参加するというものです。
まずは既にそうした関わり合いのある地域でシャンプーの量り売り販売を始められるようにしていきたい。そのためには佐久市での実証実験で得たデータや知見をもとに、しっかりとプロトタイプを作り、他地域でも応用できるようにしなくてはならないと思っています」
また、かつての日本に存在した“量り売りの文化”を改めて創造すべく、様々な構想も視野に入れているそうだ。
「まずはシャンプーの量り売りという新しいビジネスモデルを知っていただくとともに、お客様のニーズの分析をしていきたいと思っています。将来的には、地域のコミュニティづくりや、地域のリタイア層の雇用機会の創出などにもつなげていければと考えています。
さらには、プレミアムシャンプーや限定商品の量り売りなどのビジネスモデルも検討し、『量り売り体験』そのものに楽しくてわくわくするような価値を生み出したい。昔は日本でも当たり前だった“量り売りの文化”を、今の時代に合うような形で再提案し、今後も色々な可能性を模索しながら取り組んでいきたいですね」
サスティナブルな取り組みとして注目される量り売り。今後どのような形態のサービスが生まれるのか注目したい。
<取材・文・撮影/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。