こういった中で本邦は、実測で英国変異株(B.1.1.7)が既に主力株(ドミナント)になっている可能性が高いと考えられます*。感染性が在来株に比して70〜100%強力でありかつ死亡率が30%高いとされるB.1.1.7**が現状でドミナントになると、医療への圧力は4月から5月にかけて限界を超えてしまいます。
〈*
コロナ変異株、神戸の感染者36人 割合は徐々に増加「気を緩めず感染対策を」2021/03/01神戸新聞〉
〈**
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第6報)2021/02/15国立感染症研究所〉
日毎新規感染者数の反転増加は、非季節性第四波エピデミックSurgeの発生を示しており、ワクチン接種が全世界でもとくに遅れている本邦では、ワクチン政策の失敗によってワクチン接種は、第四波に間に合わない事が確実であり且つ非薬理的手法についても国策により過去14ヶ月極めて消極的であり失敗し続けてきたという最悪の状況にあることを意味しています。
全世界、北米、欧州、南米、アジア、アフリカ、大洋州とイスラエル、英国、合衆国、日本における100人あたりワクチン接種回数の推移(% 接種回数 線形)2020/12/13-2021/03/07/現時点でジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)を除くほぼ全てのCOVID-19ワクチンは、ブースター含め二回接種であるため、200%弱で全員接種を意味する/ 東部アジア・大洋州諸国とアジア、大洋州における100人あたりワクチン接種回数の推移(% 接種回数 線形)2020/12/13-2021/03/07/現時点でジョンソン・アンド・ジョンソン(J&J)を除くほぼ全てのCOVID-19ワクチンは、ブースター含め二回接種であるため、200%弱で全員接種を意味する。日本、タイ、フィリピンはX軸に張り付いているが、タイはパンデミックが極めて良好に制圧されておりワクチン接種を急ぐ必要が無い。ワクチン接種で先行していたミャンマーは、クーデターのために2/3以降の統計がない/OWID
本邦では、12/29に急減したモビリティ(移動傾向)が、2月に入り漸増し、3月にはとうとう昨年12月前半の水準に戻りました。但し、移動傾向の増加よりは、屋内営業レストランの方が新規感染者数への寄与が遙かに大きいです。故に、外食時短の緩和、撤廃は慎重を期すべきです。
またB.1.1.7が既にドミナントとなっており、この英国変異株は、感染力が在来株に比して170%〜200%と大幅に強くなっており且つ在来株と異なり子供にとくに感染しやすいという特徴を持ちますので、現状での社会的行動制限の効果は、今後大きく減じるものと考えられます。このことは、英国における11月のティア3ロックダウンが11月中旬に突然破綻し制御不能となったことが如実に示しています。
日本全体での移動傾向の推移(2020/01/13〜2021/03/07)/Apple
本邦は、
検査はしない、医療は制限する、ワクチンは導入失敗、接種体制も極めて貧弱、そもそも全てについて透明性が殆ど無く、
専門家を僭称してきた医師や医学研究者、看護師が1年間ウソをつき続け、全国の対エピデミック行政に干渉・妨害し市民に膨大な犠牲者を出した挙げ句、ワクチン接種開始とほぼ同時に集団で「私は専門家では無い」「私は博士でも無い」「私は野良医者だ」と豹変し逃亡を図るなど極めて不自然且つ無責任な行動をしています。
謎々効果が無ければ、国が滅んでいても不思議でないくらい惨憺たる本邦の実力の無さと現状ですが、次回は、韓国と台湾の現状をご紹介し、次々回からIHMEによる7月1日までの予測とこれまでの評価を執筆時点での最新情報で詳細にご紹介します。
IHMEは、長年本邦の政府、地方行政府からの受託研究が多く、本邦を知り尽くしていると考えて良いです。そのIHMEが現状から本邦と韓国、台湾、世界各国をどう評価し、予測しているかは第四波エピデミックを前に知っておくべきことでしょう。
最後に、IHMEによる本邦における真の感染者数の推定を示して今回は締めくくります。本邦は、謎々効果のおかげで規模こそ大きく異なりますが、昨年11月末の英国と同様の傾向にあると考える必要があります。
IHMEによる日本における推定される真の日毎新規感染者数と実測値の推移(人 線形)2020/01/25-2021/03/09/上下の淡実線は、95%信頼区間の上下限である。/OWID
◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ41:第四波エピデミック(2)
<文/牧田寛>