有本香さんは、そういう世界で生きてこられた。あらゆることが人間関係と属人的な要素で決定するネトウヨ論壇きっての太鼓持ちとしてその才能を遺憾なく発揮してこられた。安倍晋三という大旦那のお座敷が最近なくなり干上がりつつあったところを、松原仁さんのお座敷に呼んでもらえたという格好だ。
そして松原さんはここで勘違いしておられる。有本さんは芸者・太鼓持ち(これは蔑称ではない。芸者や幇間ほど素晴らしく高度な技量を求められる職業もない)として生きておられるのだから、どんなお座敷にもお呼びがかかれば出て行かざるを得ない。が、松原さんは、座敷に出てきた芸者が鼻を摘んで三味線を合わせてくれていることに気づいていない。有本さんもさぞかし気苦労されたことだろう。
しかも松原さんがお座敷にかけた唄がいけない。
ウイグル問題を語るのなら、有本さんを他所の花街から呼ぶ必要はないのだ。今現在、香港やウイグルやチベットの問題について、どんな街宣右翼よりも口汚い言葉を使い、どんな保守論壇人よりも強固な理論武装で、中国共産党を最も的確かつ効果的に批判しているのは、
日本共産党だ。そして松原さんが所属する立憲民主党は、日本共産党と来るべき衆院選で選挙協力をする予定になっている。だとすると、筋目の問題としても、専門性の問題としても、有本さんではなく、共産党の議員もしくは共産党周辺の知識人を対談相手とするべきだったのではないか。
しかし松原さんはそうしなかった。オワコンコレクターとしての本領を遺憾無く発揮し、売れなくなったオワコン芸者を座敷に呼び、見向きもしてくれないネトウヨ層に向かってヘタクソな長唄を歌って悦に浸っておられる。
松原議員を許容する立憲民主党の「マーケティングセンス」の無さ
松原さんの、このマーケティングセンスの無さ、プロのくせに定量的に有権者動向を把握できない頭の悪さは致命的だといえよう。
しかし心配なのは立憲民主党だ。
立憲民主党が党としてこの松原さんのセンスの悪さや行儀の悪さそして頭の悪さを許容するのであれば、オワコンコレクター・松原仁がこれまで寄生してきた各政党と同じ末路を、早晩、立憲民主党も辿ることになるであろうことは想像にかたくない。
◆なんでこんなにアホなのかReturns:2
<文/菅野完>